ニシキギ 壱
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エースのやつがまた海に落ちた。
叫ぶ暇も与えずクロウが後を追った。
「あ! 上がって来たぞ!」
「こっちに浮輪投げろ!」
「それより・・・!」
浮かんできた2人の近くに俺も飛びこむ。
どうしてかって? そりゃ・・・
「何してんだよ! お前まだ何も掴めねェだろうが!」
こういうわけだ。
「そこは・・・気合いだ」
珍しくよく分からないことを言ったクロウの腕からエースを受け取る。
エースは呼吸はしっかりしているが動かない
。気絶してんのか?
「上がれるか?」
「・・・ああ」
クロウの両手はまだ完治には程遠い。
そんな状態で塩水に浸かったんだ。倍以上痛むだろうな。
クロウが浮輪に手を掛けた時、上からふわっと何かが降って来た。降って来た・・・より降りてきたと言った方が正しいな!
「乗れよい」
「マルコか?」
救助に来たのは不死鳥化したマルコ。ナイスだ、友よ!
・・・おえ・・・。
悪友って言った方がまだマシだな。
クロウが掴まったのを見てマルコは羽ばたいた。
・・・いやいや・・・
「待て!! 俺も乗せてけよ!!」
「絶対ェに嫌だい」
くあぁぁぁ!!!
そのことについて戻ったらマルコに文句言ってやろうかと思っていたが・・・
「一体何事?」
「クロウさんが飛び込んだのをナース達見てたらしくて・・・。上がって来た瞬間取り押さえられました」
浮輪に掴まって上がって来た俺を出迎えたのはこちらを眉を下げながら見てくるクロウの姿。
あいつをあんな表情させるなんて・・・ナース意外見たことないな。ある意味凄い。
・・・
・・・
・・・安らかに眠れ、クロウ。
必死に嫌がるクロウはその抵抗虚しく、地獄(ナース室)へ連行されていった。
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