ニシキギ 壱

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「・・・イゾウはどうしたらいいと思う」




「あのガキのことか?」




「ああ」





夜。
俺の部屋でハンモックに寝ころがっていたクロウに尋ねられた。





「どうする・・・特に案は・・・ねぇな」




「・・・俺のせいでエースはまた消極になった」




「前もそんな感じだったと思うんだが」





・・・そうか?と首を傾げたクロウ。
あのガキが自分から積極的に寄っていったのはお前だけだよ。





「・・・俺はエースに家族になってほしい」




「・・・知ってる」





こいつが一週間前から四六時中悩んでるのを知ってる。
窓からあいつの姿を眺めていたのも見ていた。
周りから見りゃその顔はエースを睨み付けていたみたいだったがな。
・・・無表情も大変だな。





「・・・明日夜に船長室へ行ってみる」





船長室とは勿論船長、白ひげ。
俺らのオヤジ。





「分かった。ケンカはすんなよ」



「ああ」




「お前らの腕相撲はケンカに入るからな」




「・・・力比べは今回は止しておく」




「そうしてくれ」





あんな状態の船もう見たくない。





「寝るぞ」




「ああ、おやすみ」




「おやすみ」





ランプを消して俺は布団に入った。
クロウはというともう寝息が聞こえてくる。


何故こんなにナチュラルにクロウが俺の部屋に寝てるかって?
そりゃまた別の機会にな。





「仲良く、なれるといいな」




「・・・・・・・・・そうだな」





小さく呟いた言葉に返事があった。
なんだ、起きてたのか。
俺はくくっ、と笑ながら目を閉じた。


明日はクロウをどう苛めてやろうかな。








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