ニシキギ 壱
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俺がナースに訓練での傷の手当てをしてもらってたらイゾウ隊長が大きな音をたてて部屋の扉を開いた。
「・・・イゾウ隊長、扉の開け閉めはお静かにお願いします」
イゾウ隊長にそんな注意が出来るって・・・ここのナースはやっぱりすげェな。
一方、そのイゾウ隊長はというと珍しく余裕のなさそうな様子だった。
ナースの注意に一瞬動きが止まりかけたがすぐ戻って連れてきた誰かを引っ張った。
ぐい、と肩をひかれ部屋に入れられたのは、
「あら、クロウ君、久しぶりね! ケガしたの?」
「あ、ああ、少しだけ・・・」
クロウさんが無表情のままたじろいだのはナース達が少し苦手だからだ。
なんでも昔、ムリヤリ女の格好をさせられたからだそうだ。
・・・クロウさんの女姿・・・美人なんだろうなァ・・・今も十分きれいなんだが・・・ぐふっ。
・・・しまった。よだれが。
誰もこちらを見ていなくてよかった。この部屋の全ての視点は俺の方など来ていない。ただ、一点に集中している。
「何が少しだ。これ、治療してやってくれ」
クロウさんの焼けただれ、真っ赤になっている両手を。
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