ニシキギ 壱
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ドーン
いつも通り机に向かっていると、遠くから大砲の音が聞こえてきた。
・・・仕事の邪魔だい。
「何事だい」
甲板へと通じる扉を開けば、わいわいがちゃがちゃと騒ぐクルー達がいた。
前を向けばこの船より少し小せェくらいの海賊船が一隻。
傘下のやつらもんじゃねェ。つうこたァ・・・バカな奴らかい。
久しぶりの敵襲に騒いでるやつらにも聞こえるように声を張り上げる。
「どっか行きてェ隊はあるかい?」
ばっ、と空に向けて手が上がった。
いつも思うんだが・・・気持ち悪ィよい・・・。
「マルコ」
イゾウがこちらに近づいていった。
「今回は16番隊にさせてもらえないか?」
「なんでだい?」
珍しい。あのめんどくさがりで有名なイゾウからそんな言葉が出るとは。
「あいつが・・・何か考え事してて最近動いてねェんだよ。ここいらで一回暴れさせとかないと・・・な」
察してくれ、とそこから先は言わない。
あいつってェのは・・・あいつのことだろうねェ。
前に見たその暴走を思い出したのか上がっていた手が少しずつ減っていっている
「・・・じゃあ16番隊に頼むよい」
「ああ、任せてくれ」
そういってイゾウはもう一人の和装の元へ歩いていった。
あいつの戦闘・・・久しぶりだい。
敵船との距離はどんどん縮まっていきとうとう射程範囲内まで入って来た。
イゾウの「行くぞ! オメェら!」という号令がかけられる。
雄たけびがそれに続き久々の戦闘が始まった。
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