ニシキギ 壱

□04
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お、今日もいー天気だ!

んー!と伸びをする俺に、




「なぁ、リーゼント」




なんとも聞き捨てならん言葉が耳に入った。




「リーゼントじゃねぇよ! サッチだっつってんじゃねェか!」




今日も末っ子(予定)を可愛がってやろうと近づいて行ったら、まさかの話しかけられた。


お、こりゃ懐き始めてんじゃね?

その呼び方は許さんが。


末っ子(予定)・エースは知るか、と俺に吐き捨てるように返してきた。


ふっ・・・今日のところは許してやるぜ・・・。この寛大なサッチ様に感謝しろ。




・・・とは言わねーよ?

言って拗ねられたら困るしな!



って、あれ?
もう拗ねてね?


知るか、の後続かないエースの言葉。なんだよー。




「何か用か? あ、家族になる決心がついたとか〜?」



「んなわけあるか!」




いやん、もうつんつんしちゃって。お兄ちゃん泣くぞ。


しばらく何も言わず高さを合わせて眺めてたらまたエースから話しかけてきた。2回目。うっひょー。
こりゃサイクロンでも来んじゃねェのか?




「昨日の夜・・・」



「昨日?」




なんかあったっけか?




「フォアマストに人影があった。怪しいヤツじゃねェのかよ? 見張り何も動かねェし」




アヤシーヤツ?

そんな報告入ってない。

マストのどこ?と聞くとあの辺、とぶすっとした顔で指を指した。



・・・お、その位置はもしや・・・?




「じっとそこに座ってた?」



「座ってた」



「朝見たらいなくなってた?」



「いなくなってた」




うん、心当たりバリバリ☆

この船に居る奴ら全員答えきれるだろうな。




「あのな、あそこにゃ狼が寝てんだ」



「狼!?」



「そうそう、火と狭いところが苦手な黒い狼」



「狼・・・」




目をまん丸にして本気で驚いてるエース。っていやいや・・・




「いや、例えていうなら狼ってだけだからな? ちゃんと人だぞ?」



「・・・何だよ」




狼じゃねェのかよ・・・、そう残念そうに言うエース。

狼飼ってる海賊なんていません。




「それ、誰なんだ?」




この船のヤツなんだろ?




「んー誰だろなー。ここから先は自分で調べた方が楽しいと思うぜー」




主に俺たちが。



エースはちっ・・・と舌打ちすると礼を言っていつもの体制に戻った。

そういう律義なとこ、俺は気に入ってる。



俺は大人しく傍から離れると




「今晩の見張り番どこだったかな〜」




そいつらなかなかラッキーだぜ。


気性の荒い猫と目つきの悪い狼の初めての話し合いを見れるんだからな〜。



明日の報告が楽しみだ。










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