ニシキギ 弐

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あの事件からモビーに戻って三日がたった。



医務室には三日前と全く変わらず、点滴をうたれたクロウがいる。

瞼はまだ、一度も開かない。




「・・・今日も起きねェかな?」



「どうだかな。起きりゃラッキーだと思うくらいにしとけ」



「ラッキーって・・・」




イゾウの言葉にも力なく返すことしかできなかった。





昨日船医が作った解毒薬がクロウの体に入った。

効果はまだ見られない。


船医がいうにはあの薬は脳の一部を狂わせて色んな器官をおかしくさせる劇薬だったらしい。
ちゃんとした量なら一時的に楽しい気分になるらしいけど間違った使い方をしたら最悪死んでもおかしくない、そんな猛毒だった。


それをクロウは正しくない量で打たれてた。
そのせいでクロウは捕まったとき怪力が出せず、俺たちの声も聞こえず、喋ることすら出来なかった。


そもそもどうやってクロウを捕まえたのか。
普通の人間の数十倍の力が出せるクロウを捕まえるのに使ったんだろう。細い腰にはただれた腰の火傷があった。
多分あのスタンガンの力だろうってイゾウは言ってた。

今はその傷は包帯で隠されてる。


クロウはいつ起きるかわからないらしい。
一分後、目を開けるということもあり得ないことではないし一ヶ月後に瞼が動いてもおかしくない。



「・・・クロウ」


あの地下での着物とは違い患者が着る船医特製の服を着たクロウ。
顔色もかなりましになって普段寝てるのとかわらない感じだ。なのに、起きない。目を覚まさない。
まるで死人みてぇな・・・




「っ!!」



「・・・なにしてんだ一人で」



「い、いや、あはは・・・」




パンっと顔を叩いたところをイゾウに見られてた。イゾウは指て頭おかしくなったか? とジェスチャーしてくる。

・・・言えるかよ

・・・・・クロウが死人みてェに見えたっつったらぶん殴られる!!




乾いた笑いでごまかすほかなかった。















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