ニシキギ 弐
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全部の敵が片付いた。
ほとんどのやつは気絶して床に転がってて何人かは紐でしばっておく。
あ、隅っこで転がされてた女達はサッチがほどいてソファに座らせていた。
泣きながらお礼を言ってくる見た目は顔色は悪ィけど特に外傷はなかった。
イゾウはあの集団は人売りのグループだって言ってた。
やっぱりこいつらも商品だからなんともないんだな・・・それは良かったんだけどやっぱかなりムカつくことで・・・
なんかいらいらして分からなくなったので先にいたイゾウの肩を叩・・・こうとした。
が
するっ
「うぉっ」
右手は目標地点としてたところがいきなり動いてそのまま落ちた。
おっと、と崩れながらイゾウの顔を見る。
「・・・・・・いた・・・」
「いた!? クロウ!?」
「・・・・・・ああ」
一番期待してた情報だった、はずなんだけどイゾウの顔はすっげェ冷めてて・・・俺が予想してたリアクションと違う。
イゾウはクロウのことだと感情の起伏が分かりやすくなるっていうのはそこまで乗ってない俺でも知ってる。
「え・・・ど、どうかしたのか」
「自分で見ろ」
そう言ってさっと歩いていっちまった。
イゾウの進む方向にはさっき隠れてた時に死角だった道。そこに
「生きてるか、クロウ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え、クロウ・・・?」
「お、クロウいたか!」
一人元気にスタンガン弄りながらそう言ったサッチもそのクロウを見たら息を詰まらせた。
道の一番奥の壁、そこにクロウが転がっていた。
さっきのやつらなんかとくらべものにならないほどの怪我がこの距離からでもわかる。
ぴくりともしない体。イゾウの呼び掛けにもなんの反応もなかった。
イゾウが早足で近付いてクロウの体を壁にもたらせて片手で手足の縄を切る。
ひどく衰弱してる。
顔の砂利をイゾウがはらった。
「く・・・あ・・・イ、ゾウ」
誰も喋らない静かな空間でやっと聞こえるらしくない細いかすれ声。
こっちを見ているようにも見えるけど瞳孔がおかしい、瞼は痙攣してる。
イゾウがクロウの体を押さえながら尋ねる。
「何があった」
耳元で言ったが聞き取れてないみたいだ。いつも以上の無表情の半開きの目でこちらを見返す。
俺とサッチは傍に移動した。
イゾウは地面に字を書いたがそれすら認識できないみてぇだ。
目をもっと細めて字のある所を見つめている。
「おいおい・・・どうしたんだよ!」
サッチが大声で言うとクロウは眉を少し歪めた。
「耳障りだってさ」
「ひでェ!」
ぎんっと音の出そうな程の眼力で睨まれたので二人揃って黙りました。
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