ニシキギ 弐

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「行ってくる。ちゃんと真面目に働くんだぞ」



「クロウー・・・行くなよー」



「そう言うな。急いで終わらせれば時間が余るかもしれない。その時は一緒に回ろう」



「真面目に行ってきます!」




・・・・・・アホか。


行こう、イゾウ。と言って俺の方を向いてくるクロウ。
行くぞォォ! 早く行くぞォォ! とやる気があふれ出しているエースを一目し、俺はさっさと船を飛び降りた。
あんな簡単に丸めこまれて大丈夫なのかね。










「ひひ、兄ちゃん達良い着物着てんなァ」



「バッカそりゃ着流しっていうんだよ」



「はっ、知らねェよ! 兄ちゃん達それ置いてかねェかい? 兄ちゃん達ごと攫っていきたいんだがねェ・・・ひひっ! がほっ」



「黙れ 五月蝿い 喋るな 汚ねェ」




俺たち2人が町に降りて真っ先に近づいてきたのはこういう輩たちだった。

・・・っち、マルコが治安悪ィから気をつけろって言っていたがここまでか。

襲ってきた4組目の汚ェ身剥ぎ集団をのしてからクロウの方を振り向く。
いつもの表情でぽーっとしているクロウ、そっちに被害はなかったようだ。

薄汚ェこの町に白の着物は馴染まなすぎる。
だからといって脱ぐ気は俺もクロウもさらさらねェんだがな。









「おい、そこの着物着てる奴ら!」



「・・・俺か?」



「そうそうお前ら! 俺らにちと付いてきて貰おうか!」



「何故だ」



「何故って・・・あれだよ、ほれお前らのきれいな顔をもっと見たくて・・・」



「そうか、ではな」



「いやいや待て待て。付いてこい、つってんだろう」



「何故だ」



「いや、だから」



「何故貴様の言う通りにせねばならん」



「いや・・・」



「・・・・・・・・・」ジッ



「だから・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ジッ



「ああ、もういい! 面倒な兄ちゃんだな!」




そう言ってどっかへ逃げて行った6組目の汚い連中。
試しにクロウを前にして歩いていたらこういう輩に会うことが増えたもののかなり穏便に追い払うことが出来ると分かった。


よくやった、という気持ちを込めてぽん、と背中を叩くとクロウにやっぱりイゾウが前に来てくれと頼まれた。


よく分からず頷いたがその理由はそのすぐに分かる。








「・・・俺は面倒か」


「・・・んなこと全然ねぇよ。気にすんな」


「・・・イゾウがそう言うなら・・・」


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