ニシキギ 弐
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突然だか俺が使っている部屋の話をしよう。
ここは元クロウの部屋。
物置のように使われていたのを譲って貰った部屋だ。
普通平隊員はまとめて大部屋で生活しているのでありがたく使っている。
元の船に乗せていたタンスやランプなども移動させてちゃんと生活感みなぎる部屋に変貌もした。
この部屋の簡単な歴史を説明したところで現在へと戻ろうと思う。
現在時刻は・・・分からないが夕食はとうに終わり早いものはもう布団に潜り込んでいるくらい。
まあ、夜だ。
部屋で何もすることもなくランプの光を眺めているた今から数秒前、誰かが扉を叩いた。
扉を開くとそこには・・・・・・わお、クロウがいた。
「夜分にすまない」
「い、いや、平気だけど・・・どうしたんだ? そんな荷物もって」
クロウがこんな時間に扉を叩くのは初めてだ。いや、まあなんにだって初めてはあるから少ししか驚かないけど。
それより目につくのはクロウの片手にある大きな黒いなにか。
布か?
「今夜一緒に部屋を使わせてもらえないか? 今日は雨が降ってな」
ああ、そういうことね。
俺は二つ返事で了承した。
「で、電気消すぞ!」
「ああ。ありがとう。おやすみ」
「おやすみ!」
クロウが持ってきたのは黒いハンモックだった。
あの後手際よく壁についてるフックに紐をくくりつけ、すばやく就寝の準備は整わせた。
で、その後少しの間喋って……とそこまではいい。そこまではいいんだ。
問題はそこからだった。
「(…寝れねぇ)」
全く眠気がやってこない。
いつもならメシ中でもいきなり襲ってくんのに・・・・・・。
黙って暗闇を見ているとクロウの静かな寝息が聞こえてきた。
もう寝たのかよ!
悶々としている自分がすごく子どもっぽく感じる。しょうがないだろ!
なんか・・・クロウだけは特別緊張するんだ! いや、変な感情とかじゃなくてね。
しかしなんでクロウはこの部屋に来たんだろう。
前はイゾウの部屋で寝てたのに・・・。
ていうか何でクロウはわざわざ人がいる部屋に来るんだ? こんな広い船なんだ。空き部屋だってまだあるだろう。
まさか・・・・・・クロウって寂しがりや?
寝息、そして雨音。
その二つをどこか遠くに聞きながら、俺はいつのまにか寝ていた。
ちなみに夢でウサギの耳が生えたクロウが出てきた。
意外と似合ってた。
そして翌朝、目を覚ますと
隣には誰もいなくなっていた。
まるで昨日のことなど嘘のように。
・・・・・・・・・・・・て、なんで少しシリアス!!?
ただ単にクロウは先起きて出ていっただけだよ!
食堂行ったら礼言われていつも通りアボカド差し出された。