ニシキギ 弐

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甲板に上がってきた俺が目にしたのは何かを取りまくクルー達の壁だった。



「・・・何やってんだい?」



「あ、マルコ隊長!」




近くにいたクルーが言うには




「今クロウさんとあの新入りが腕相撲やってるんです!」



「腕相撲?」




あのクロウと?




「・・・勝てるわけねェだろい」




俺でも勝てねェのにあんな若造が勝てるかってんだ。

俺の呟きにクルーたちは物凄い勢いで首を上下させる。




「そうなんですよ! さっきから新入りがどんなに力を込めてもちっとも動かなくて!」



「クロウさんは余裕の顔でいるし!」



「でも力を出そうともしないので」



「勝負がつかないんです!」




ああ・・・

ようは勝負を挑んだエースがバカだってことだねェ。




「ちょっと道をあけてくれよい」



「あ、はい!」




ざっとひらけた人のごみ。
なるほと確かにほっそいのとゴツゴツしているやつが樽の上で競い合っている。

これは末っ子の負け姿を見ない術はないだろう。










「ぐん・・・ぬぅぅぅ!!」



「・・・大丈夫か?」



「ばかにすんなぁぁ!!」




エースとクロウ。
クロウの方は珍しく長い袖を捲って細い腕を出している。
普段日にあたってないせいで白い腕はマストや甲板を大破させることが出来るとは考えられない。
現にエースの筋肉隆々の腕を支えているのが異常な光景に見えるしなァ。




「クロウ、力を出さないのかい?」



「・・・ああ、マルコ。何だかズルい気がしてな・・・」




汗一つかかずにこっちを振り向くクロウ。対するエースは顔を真っ赤にしながらやってるっつうのに・・・。
本当に力込めてんのかい?

それから何分経っても終わらない勝負。
均衡しているようでそうではない勝負に俺は一石投げ入れることにした。




「クロウ」



「?」



「そろそろ勝負決めねェと・・・」




俺は必死なエースの顔を見て




「エースが発火すんぞ」



「それは困る」



「うおぉぉぉぉ!?」




勝負はあっさりついた。







「マルコ何すんだよ!」



「飽きた」



「えぇぇぇ・・・」



「ま、お疲れだよい」




とりあえず俺は










一口いくらかを調べてくるよい






「そういうことかよ!!」


「そういうことだよい」


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