ニシキギ 弐

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ある日の昼。モビーの食堂にて、




「ぐー」




今日も今日とてエースが料理に顔を突っ込んで寝る光景があった。

エース乗船から早二ヶ月。
周りのクルー達はこの光景にも慣れ気にするものはいない。

もちろんそれはエースの隣に座る和装の男も一緒で




「・・・・・・」




クロウも気にすることはない。

そんなちょっと虚しいエース。

彼の起床は突然だ。




「・・・・・・は、寝てた!!」




わざわざ皆知っていることを事後報告してくる。

そしてそれを横目で見ていたクロウは慣れたようにエースを呼び




「食ってくれ」



「ん」




やはり今日も今日とてエースにあーんするのだった。


それを見て二人の前で食事していた4番隊隊長兼料理長のサッチは




「あ! こんのっクロウ! 好き嫌いはダメだって言ってんだろ!」



「申し訳ないが・・・こいつだけはムリだ」




無表情なクロウが心底大事そうにいったこいつ、とはクロウの持つスプーンに乗ったアボカドといわれる野菜。

先程からエースに食わせているのはこいつだ。




「ったく! せっかく切り刻んでやったのに・・・」




これもダメか・・・と溜め息を吐き、自分の食事に戻ろうとした時、クロウから




「サッチ、食うか」



「食う」



『(食うんだ・・・)』




きれいな即答。
クロウからスプーンを差し出されればパクっと食いついた。

料理長よ、いいのかそれで。

その料理長はよっしゃ! クロウと間接キスゥ! と心の中で喜んでいた。


と、ジト目でこっちを見るエースと目があう。

そして一言。




「・・・それ、俺が食ったスプーンだぞ」




・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・




「おげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」




衝撃的過ぎる事実!!

傍にあったコップを掴みぐびぐび飲み干す。

気付いてないがそれもエースの飲みかけの水だぞ。


憐れ、サッチ










彼にラブコメ的展開が訪れる日はくるのだろうか。






「ムリだねェ」


「ムリムリ」


「ありえねェ」


「お前らひどい!」


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