ニシキギ 弐
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ルーキーとして名を馳せていたスペード海賊団が白ひげ海賊団に組み込まれてから2日が経った。
最近クルー達の中で話題になっているのは元船長エース。
あんなに抵抗してたから居心地悪いんじゃないかと皆心配していた。――が
「クロウ、痛い痛い痛い痛い!! 何だそれ、タワシ!?」
「いや、普通のタオルだが」
「何でそんなに痛く出来るんだよ!? 背中剥けるって!」
「イゾウはこれが普通だぞ?」
「おい新入り、こしょぐってェよ。もっと力入れろ」
「入れてるって!」
「力ねーなー。クロウを見習え」
「クロウを普通と思うなよ!」
「・・・・・・」
かなり馴染んでた。
よく隊長と古株に挟まれて態度変わらねェなァ。
今日は大風呂に湯をはる日。
いつも一番最初に隊長格と古株から入る。だが今日は「俺、クロウと入りてェ!」とか言い出した新入りも紛れてきた。
ここの隊長は基本上下関係など気にしてない。
だが隊員達の多くは隊長の前に出ると固まってまともに話さなくなるのだ。ま、4番隊は例外だが。
そういうのもあるから自分から懐いてくるエースを気に入っているのだろう。注意するものは一人もいなかった。
体を洗い終えたクロウが、その後ろから走ってエースが・・・そんなに走ると転ぶぞ。
「あだっ!」
「・・・何してんだい」
盛大に転んで頭を押さえながら浸かりに来た。
エースは豪快に湯船に入るとでろーん、と溶けたように力を抜かす。
「お、おう・・・力が入んねェ・・・」
「この湯は海水をろ過して使っている。能力者には少々やり辛いかもしれんな」
「あー、でも平気だ。きもちーなー」
「それはよかった」
クロウがエースとは反対の白い細い体を湯に沈める。
入り方といい性格といい正反対だな。
「はーいい湯だー」
はーはーと口を閉める様子がないエース。
それを見て他の奴らはげらげら笑う。そして本人はそれを全く気にする様子がない。
「きもちー・・・グ―――」
「寝んな!」
突然エースの筋肉質の体が湯の中へ消えた。
「・・・エースはおもしろいな」
「いやいや、感想より助けてやって!」
俺の近くでその光景を見ていたサッチがエースの頭を片手で掴んで引っ張り上げる。
ざばっと救助されたエースは一言
「え、ああ・・・びっくりしたな!」
いや、こっちが吃驚だい。
つうか死にかけてそんだけって・・・。
改めて変なやつが入ってきた、と痛感した。
・・・個性で済ませていいのかい?
クロウといい・・・この年代の奴らはそうなのかねェ?
彼らとの年の差を数えて地味にショックを受けたマルコだった。