拍手ありがとうございます!
お礼小説は黒バスで黄黒です。
黒子視点で切甘です。
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涙を流した意味がわからなかった。
黄瀬君が女の子と一緒にいて、なぜか知らないけど涙が溢れて来て。
心はぽっかりと穴が空いたようだった。
それに気が付いた黄瀬君が僕の所へ来ようとしたけど、女の子が邪魔をしてここまでは来れない。
僕はそのまま踵を返して駆け出した。
「黒子っち!待って‥!」
「来ないでください!」
女の子に謝りながらその場を抜け出したらしく、黄瀬君はもの凄い速さで僕に追いついてきた。
走りでなんて勝てるわけが無い。いや、何をしても勝てるわけが無い。
僕は君にとって、とてもちっぽけな存在だ。
「離して、っ‥くださっ‥!」
「どうして、泣いてるんスか!」
「‥っ‥わか、りませ‥っ‥」
「俺が女の子に囲まれてたからっスか!?」
怒鳴るようにして言われて、更に涙が溢れて来た。
数週間前、僕は黄瀬君に告白された。
それをすぐに断ったのは紛れもない僕だ。
君の人生を崩してしまう。僕なんかを好きになったら‥君の世界が壊れてしまう。
大切だから、僕はその答えをだした。
正直、自分の気持ちもよくわからなかった。
君のことは本当に大切に思っています。でも‥好きかどうかはわからなかった。
「ど、う‥して‥泣いてるのか‥」
「‥黒子っち、」
「君が‥女の子に、囲まれてるのを見て‥心に、穴が空いたような‥」
「っ、黒子っち‥」
ちゅっと触れるだけのキス。
瞬間、周りの空気が止まるような錯覚を起こした。
時が動き出すと僕の涙は止まり、じわじわと顔が熱くなっていくのがわかる。
「俺のこと、好きなんでしょ?」
「わ、かり‥ません‥。君の事は大切に思っています。でも、それが好きかどうかなんて‥」
「ね、好きって、言って?」
言葉が詰まる。
君の切なそうなその笑顔。
儚くて手放せば消えてしまいそうだった。
「‥す‥‥、き‥‥」
一文字ずつ発した言葉に、今度は身体が熱くなった。
それは病熱を帯びたように。
どんどん僕の身体を蝕んでいく。
「‥顔、真っ赤。」
「ッ‥!‥み、みないで、ください‥」
「嫌っス」
「‥最悪です、君に泣き顔を見られて‥その上、気付かされるなんて‥」
君が好きだってこと。
あぁ、この感情に気づきたくなかった。
手放せなくなってしまう。君の未来を壊してしまう。
それでも君が欲しい。
君の人生を壊しても良いですか?
「好き、です‥黄瀬くん‥」
「俺もっスよ、黒子っち」
あぁ、そうか。
堕ちるのは二人一緒。
それなら怖くないかもしれませんね。
僕の人生も君にあげます。
それでお相子って事にしてください。
fin.
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なんとなく黒子を泣かせたくなって書きました。
天然無自覚ってのも可愛いですよね。
近年、稀に見るイケ黄瀬様でした。‥え、誰?
拍手ありがとうございました!
2012.05.24