□情けない人【甘】
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俺の傍にあった耳元の浜田の手で、周りからは見えないように隠れていた‥と思う。

浜田が俺の頬に軽いキスをして離れていった。


へらっと笑う浜田の顔にイラッとするが、その反面、顔がじわじわと熱くなっていく。


俺はどんだけコイツのことが好きなんだよって、自覚させられるようなそんな感覚。


ムカつく、浜田のくせに。




「浜田‥あとで覚えてろよ」


「はいはい」




上機嫌に鼻歌を歌いながら、牛乳をすすっているそんな姿。


俺もなんでこんなバカが好きなのかよくわかんねーけど。




「泉」


「っ‥なんだよ‥」


「今日、家来るだろ?」


「‥‥いかねぇ、」


「待ってるから」


「行かねぇって言ってんだろ!」




顔は目立つくらいに赤くなってないかとか、そんなことを気にしながら憎まれ口を叩く。

俺にはそんな態度しかとれないから。

浜田はそんな照れ隠しをする俺を笑っていた。



カッコイイなんて事は絶対言ってやらない。

だってそんな事を言ったらコイツは調子に乗るから。


恋愛は惚れた奴が負けとはよく言ったものだ。


俺はその敗者の一人なのかもしれない。




「泉」


「‥うっせぇ」


「かわいい」


「可愛いゆーな!」


「好き」


「ッ‥もうお前だまれ!」




へらへらと笑うコイツに、俺は一生勝てない気がした。




fin.




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