□準備段階【甘】*
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「泉‥遅い‥」




今日はバイトがあって一足早く帰ってきた俺は、部活がある泉の帰りを待っていた。


いつもなら部活が終わってもう帰って来ても良い時間のはずなのに‥一体どうしたと言うのだろう?




「心配だな‥」




コンビニに行くがてら、少し様子を見てこよう。


近場だけど寒いだろうからとコートを着て、財布と家の鍵だけを持って俺は玄関のドアを開けた。



するとそこには、俺が待っていた人物がビックリした顔をして立っていたのだ。




「っと‥なんだ?コンビニでも行くのか?」


「のわ!?い、泉っ!?」


「俺いつものアイスな」


「え、あ‥ちょ‥」


「?‥どーかしたのか?」


「あ、いえ‥何でもないです」




パタンとしまって行く扉。

あぁ、こんなことになるなら外になんか出なければ良かった。


仕方なく泉が欲しているアイスを買いに行くと、俺は一秒でも早くと帰宅を急いだ。


だって、勿体無いと思う。


泉と過ごせるこの時間を‥無駄にしたくはない。




「泉っ‥!」


「うわ早っ、気持ちわるっ」


「酷っ!でもちゃんとアイスは買って来たよ?」


「あーそう、サンキュ」




泉は帰ってきてすぐに風呂に入ろうとしていたらしく、俺の早い帰宅に拍子抜けしていた。


バツの悪そうな顔をしてぐしゃぐしゃと髪を掻き上げ、泉はぶっきらぼうに言葉を続ける。




「もう少しゆっくり帰って来いよな」


「だって‥泉と一緒に居たかったんだもん」


「だもんとか言うな、気色悪い」


「泉は少しでも長く俺と一緒に居たいと思わないの‥?」


「そうじゃねぇよ」




アイスが溶けると口にした泉に、俺はそそくさと冷蔵庫へ向かう。


泉は着替えを持ったままそこに立っており、そこから俺の背中に向かって声をかけた。




「‥今日、するんだろ」


「え‥?あ‥‥う、うん‥」


「だから‥準備、とか‥しねぇとマズイだろ」


「準備?」


「ほ、ほら‥中‥とか、洗わねぇと‥汚いから‥」




歯切れが悪そうに言う泉は、振り返ると顔を真っ赤にして俯いていた。


そうだ。

男同士でするって事は、腸内洗浄をきちんとしなきゃいけないって事だ。


本来受け入れる為に作られていないその場所は、きちんとしないと病気になったりと‥そりゃまぁ大変なことになる。




「帰って来るまでに終わらせようとしたのに‥お前、帰って来るから‥」


「お‥おう‥」


「家でやっている暇もなかったし‥だからさっき、浣腸だけはしたけど‥中はまだ洗ってねぇし‥」


「俺の家‥ウォシュレット無いもんな‥」


「此処が古すぎるのが悪いんだよ」




現実を突きつけるような、生々しい会話だった。

男同士でのボーイズラブ漫画っての?ああ言うのも泉と付き合ってから勉強の為に読んだことがあるけど‥あんなのは現実では有りえない。

実際のとこ、こうして腸内洗浄してコンドームをして性行為を行わないと大変なことになる。


それと、AVなんてのも参考にならない。

ちゃんとした知識ってのは、今の時代はネットを使えば簡単に出て来る。

そう言うのを駆使して行かないと、安全で相手を満足させるセックスなんてのは出来ないのだ。




「‥わかったら俺、風呂行くから‥入ってくんじゃねーぞ。」


「泉、ちょっと待って」


「なんだよ」


「一緒にお風呂入りたい」


「はぁっ!?お前‥俺の話聞いてなかったのか!?」




意味が分からないと言った顔で、泉は素っ頓狂な声をあげた。


がしっとと泉の肩を掴み、逃げようとする泉を押さえつける。



見てみたい。


泉が普段どうやって俺との行為の為に準備をしているのか。
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