□コンテンツ【甘】*
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「おーっす!‥って‥栄口?」


「げっ!?浜田!?」


「泊まってるって聞いたから遊びに来ちゃったよ〜」


「水谷まで!?」




ヤバい事になった。


俺の後ろからは俺の姿をした栄口が顔をだし、青ざめた顔でこっちを見ている。



栄口―っ!と言って俺に抱きついてきた水谷。


それを見て栄口の顔色がどんどん悪くなる。




「‥泉?なんか顔色悪いぞ。‥大丈夫か?」


「え、あっ!はいっ‥じゃなくて‥だ、大丈夫‥」


「水谷うぜぇっ!抱きつくな!」


「え、‥さかえぐち‥?」




シン‥とその場が静まり返る。


何かがおかしい、そんな空気が流れた。




「え、えーっと‥、あの‥此処じゃ恥ずかしいから‥って事で‥」


「あ、あぁー‥!そ、そうだよね。ごめんね?栄口‥」


「‥泉、」


「え‥‥」


「泉でしょ?」




俺は今、栄口の姿をしているのに。


浜田の目は、はっきりとその中に居る俺の姿を捕えていた。




「浜田っ‥」


「えっ‥えっ!?どういうことなの栄口!?」


「信じられないけど‥やっぱりそうだよな‥?」


「う、んっ‥俺‥っ‥」




溜まっていた涙が溢れそうになり、それを隠すように浜田が俺を抱きしめた。


声を殺すようにして、二人には悟られないように。


涙はじわりと落ちて来ただけですぐに止まる。



浜田のおかげで安心したのだ。




「栄口‥が‥そんな‥。‥う、浮気なんて‥」


「‥水谷、まだ頭まわってないの?」


「え、ぁ‥泉‥?ね、ねぇっ!いいの!?浜田さん恋人じゃっ‥!?」


「俺が栄口だよっ!‥俺達、入れ替わっちゃったんだ。」




水谷はその後、状況を把握するのに1時間はかかったそうだ。


どうしてこうなったか2人に事情を説明すると、最終的にはどうやったら戻れるかという所にたどり着く。



俺と栄口が抜き合いしたってことは伏せて置いたけど‥バレるのは時間の問題かもしれない。




「なんでだろうな‥」


「それが分かったら苦労しねーよ」


「本当に心当たりないんだよな?」


「‥‥ない‥。というか水谷うぜぇ。離れろ。」


「うん‥、やっぱり中身は泉だね‥」


「さっきからそう言ってんだろ」


「栄口の顔でそんなこと言わないで、俺傷ついちゃう」


「キモッ」




近づいてくる水谷を手で押さえつけ、それ以上俺の方に来れないようにする。


中身が違うんだから、そりゃこうなるに決まってるだろ。




「あ、あの‥これからどうすれば‥」


「‥なーんかさ、大人しい泉も可愛いよね。」


「えっ!?‥あ、あのっ‥あのっ‥浜田さっ‥!?」


「ちょっとムラッと来ちまうかも」


「ッ‥!」




そう言って俺の姿をした栄口に近付く浜田。


そうはさせるかと浜田を制止すると、睨みを効かせて胸倉をつかむ。




「‥それ以上栄口に近づいてみろ、殺すからな」


「泉、それ‥ヤキモチ?」


「ちげーよ、調子に乗るな」




ムカつく。

こんなことになるなら早く戻ってしまいたいと思った。
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