□機械の子【甘】*
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「なぁ、泉。今日一緒に帰らね?」


「ごめん‥今日、部活‥」


「あ、じゃあ待ってるし‥ダメかな?」


「でも、遅くなると思うから‥‥先に帰って‥」




その日、泉が初めて俺のことを拒絶した。


こんなこと、いつもなら言われないはずなのに。




「いつもなら良いって言うのに‥なんでダメなの?」


「そ、れは‥‥その‥、‥」




‥やっぱり、俺が昼に抱きしめたのがマズかったのかな‥。


‥泉も泉だ。ハッキリ言ったら良いのに。



嫌なことは嫌だって言えよ。




「あの‥さ、昼間のこと‥怒ってる?」


「‥怒って‥ない‥」


「じゃあ、なんで冷たいの?」


「冷たく‥ないよ‥」




そう言って目を反らす泉に俺はキレた。


やっぱり怒ってるじゃん。



無表情で、何を考えてるかわからなくって。


泉を理解できない自分へのジレンマもあったんだと思う。




「あー‥そう。嫌なら嫌って言えよ。」


「え、あ‥違‥う、嫌じゃ‥なくて‥」


「‥俺と飯食ってるときも、いつも一緒にいる三橋と田島のこと考えていたんじゃねーの?そんなに俺とじゃ不満かよ。」


「は、浜田‥‥、話を‥」


「‥もーいい。帰る。」




泉の言葉を無視して、俺は教室を飛び出す。


教室にあまり人が居なかったのが幸いだった。


あんな会話聞かれてたら‥誤解されても仕方ない内容だと思う。


周りには聞こえない声で話していたし、たぶん大丈夫だとは思うけど。



モヤモヤしたこの胸に詰まったものは何なんだ?


‥好きなのに。


こんなにも好きなのに‥俺は泉に対してキレてしまった。



気持ちが通じないのが、こんなにも苦しいものだなんて知らなかった。




「は、っ‥!は‥まだ‥!」


「‥泉?」




走って辿りついた駐輪場。

泉も俺を追いかけて走って来たのか、少し息を切らして俺に近付く。


そのまま俺の自転車の後ろに跨がり「部活休んで来たから」と一言だけ告げる泉。




「‥いいのかよ。そんなことして‥」


「浜田‥、怒ってるみたいだったから‥」


「‥ほっとけば良いだろ」


「ダメ、ほっとけない。浜田がそんな顔してるの、俺‥堪えられない。」




その言葉に、俺の怒りが鎮まっていく気がした。


俺の事を一番に考えてくれた気がして。



自転車が走りだすと、泉はぎゅっと俺にしがみついてきて、女みたいに胸もないのにドキドキした。


そして、いつものような無言状態が続く。
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