捧げ物

□Sunday Morning【甘】
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意味わかんないという顔で俺は水谷を見上げた。

水谷は頬をいつもより染めて、顔を反らしている。




水谷「だからー…上目遣いっ!」


栄口「…あぁ……」




なるほど。上目遣いか。


悔しいことに、水谷と俺の身長差は5cmも離れてしまった。


だから…見上げるしか出来ないんだよ…バカ。




栄口「んで?これがどーかしたの??」


水谷「にあうー?」


栄口「似合うー?って…」




確かに水谷の着ているスーツはよく似合っている。

いつもとは違う、紳士みたいな水谷…。



凄く…カッコ良……




水谷「栄口〜どお?ねーってばー!」




…訂正、黙ってればカッコイイんだけどね。




栄口「さ、朝ご飯作るか。」


水谷「えー!?似合うか聞いてるのにっ!」


栄口「似合う似合う。カッコいーよー。」




水谷の方を向かないで棒読みで言ったら、手を引っ張られて抱き寄せられた。




水谷「…ちゃんと、似合うかどうか言ってくれるまで離さないから。」


栄口「だから…似合うって……」


水谷「だって俺、栄口にカッコイイって言ってもらいたくて着たんだよ?言ってくれるまで脱がないっ!」




もう…子供みたいなこと言っちゃってさ。


本当、バカでどうしようもないね。




栄口「…似合うよ。凄いカッコイイ。」


水谷「さ…さかえぐち…」


栄口「でも、恥ずかしいから外では着ないでね。」


水谷「えっ!?ちょ、カッコイイって言ったのになんで!?」




めそめそと泣く水谷を背に、俺は朝ご飯を作る支度を始めた。




栄口「……カッコ良すぎるから心配なんだよ…。」




ボソッと呟いた言葉は水谷に聞こえなかったみたいだ。


包丁のルズミカルな音と、味噌汁の匂いが部屋を包む。




栄口「ほら、ご飯だよー。食べよ?」


水谷「うぅ…っ…」


栄口「ほら、泣かないのー。」




涙を手で拭ってやるけど、いっこうに動こうとしてくれない水谷。




栄口「ねぇ…ご飯冷めちゃうよ?」


水谷「……栄口がちゅーしてくれたら食べる。」


栄口「あのねぇ…」




はぁ…と深いため息をひとつ。

どこまでいじける気でいるんですか?水谷くん。




栄口「じゃあもう食べなくて良いよ。」


水谷「………」




これでも動かない…相当拗ねてるな。

まだご機嫌ナナメの水谷の頬に軽くキスをすると、水谷の顔が途端に上がる。




水谷「さっ…栄口…!」


栄口「ほら、早くしてよ。」




赤くなる頬を隠すように、俺はそっぽを向く。




水谷「栄口…大好きッ!!」


栄口「…わかってる…よ…。」




ふっと笑い合って、俺達は食事を済ませた。




…その後、水谷に付き合わされたことは…言うまでもない。




fin.



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