捧げ物

□独占【シリアス甘】
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そして冒頭に至る。



怒っているのに何故浜田の家にいるのかって?


それは俺が、文句を言いに来たに決まっている。




浜田「ごめん!先輩が帰してくれなくって‥」


泉「最低。俺よりその先輩が大事なんだ。」


浜田「デートには時間もあるし‥間に合うと思ったんだよ。」


泉「現に遅れた。」


浜田「だからごめんってば‥」




そう言って俺の肩にかけた手を、俺は払いのける。


まず、女の先輩とお茶をしにいくことが間違っていると思う。



俺と言うものがありながら、許せない。



浜田は優しいから、断れずに先輩に着いて行ったのだとは思うけど‥それでも俺は許せなかった。




泉「どうせ‥俺以外の人ともヤってるんでしょ?」


浜田「は‥?なんだよそれ。」


泉「男だけじゃ満足できないんだろ!?俺なんてただのセフレなんだろ!」




そう言うと、俺は浜田に無理矢理唇を奪われた。


その手荒な行為にカチンと来た俺は、浜田の顔を引っかいた。




浜田「ってぇな!」


泉「大嫌い‥浜田なんか大嫌い‥!!」


浜田「俺は他の奴となんかこんなことしねぇよ!!」


泉「信じられない‥浜田なんか信じない‥」




俺は浜田の前から逃げ出そうとし、玄関に向かって走った。


しかし、その手を浜田に掴まれる。

振り返らず、ただ逃げようと手を振り払った。




浜田「なんで解らないんだよ!」


泉「もう嫌だ‥顔も見たくない‥‥。」




そうして俺は泣いている。



辛い。辛いから逃げたい。




兄「孝介」


泉「‥なに‥?」




もうほっといてよと言おうとした。


でも、兄貴の顔が険しかったから言うのをためらった。




兄「‥浜田が来てる。」


泉「‥‥う、そ‥」




兄貴の隣から出て来た浜田を部屋に押し込み、ドアを閉めて兄貴は出ていった。


しばらくしん‥とした沈黙を破ったのは、浜田だった。




浜田「携帯‥かけても繋がらなかったから‥」


泉「電源切ってるから‥‥もう帰って。」


浜田「待てよ!話しがあるんだ!!」




浜田を帰らそうと出しかけた手を引っ込めると、俺は床へと腰を下ろした。


浜田もその行動にほっとしたようで、床へと腰を下ろす。



一定の距離はあるものの、浜田は気にせずに話し始めた。


決して泣いていたことが解らないように、俺は体育座りをしながら。




浜田「昼間はあんなこと言っちゃったけど、俺が悪かったって反省してる。」


泉「俺はまだ許してない。」


浜田「うん‥。俺が先輩とお茶なんて行かなければ良かったんだ‥結局は泉を待たすことになったから‥。」




それを聞いて、俺は顔を伏せる。


そして浜田はそれを見て近付いて来て、俺の体を抱きしめた。



抵抗した。


けど、その強い力に負けて体を預けた。



これでごまかせると思ったら大間違いだ。




浜田「俺には泉だけだから。だから‥もうあんなことは言わないでほしい。」




あんなことって‥俺以外の女とって言ったあれのこと?


流石に言い過ぎたと俺も少し反省したけど、あんなことを言わせた浜田も悪い。



絶対謝らない。


俺は悪くなんか無い。




浜田「泣いたんでしょ?」


泉「‥‥誰が泣くか‥」


浜田「目が赤い。‥俺ね、泉が俺のことで泣いてくれるのって、不謹慎だけど凄く嬉しい。」




ムカつく‥と殴ろうと俺が身構えた瞬間、でもね‥と言って浜田は付け足す。


頭を撫でながら、俺が怖がらないように額にキスをして。




浜田「やっぱり、俺の前で笑っている泉のが好き。」


泉「‥‥っ‥!」




それを聞いて、少しきゅんとしてしまった俺は‥‥コイツに溺れている。




浜田「ごめんね。だからさ、笑ってよ。泉が俺を独占して?」


泉「‥調子に乗るな。」




一言呟くと、俺は自分から浜田にキスをした。


仕方ないから、俺が浜田を独占してやる。




浜田「‥仲直り、ってことで。」


泉「‥仕方ないから許してやる。」


浜田「ありがと、泉。」




fin.




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