捧げ物

□デートの約束【甘】*
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栄口「なんか嬉しそうだね。」


泉「そ‥うか‥?」


栄口「あ、もしかして浜田さんとデ‥」


泉「わー!わー!!」




図星を言われて、俺は栄口の口を塞いだ。

全く…いくら人がいないからって、そんな事を言われたら恥ずかしい。


栄口は、俺の良い相談相手だ。だから浜田と付き合っている事とかも話してしまう。



そして勘が鋭い栄口は…いつも俺が思っていることとかを当ててしまうんだ。




泉「日曜に‥な‥‥浜田に誘われたんだ。」


栄口「へぇ。どこか行くの?」


泉「それはまだ解んないんだけど‥」




10時くらいに待ち合わせしてんだ〜とへらへら笑いながら言うと、栄口は不思議そうに顔をしかめた。


なんだろう?俺なにか変な事言った??




栄口「‥今週の日曜日は、確か部活が一日中無かったっけ?」


泉「えっ!!?」


栄口「泉‥部活休むの?」




てっきり朝練だけだと思っていたのに、栄口から突き付けられた言葉。


どうしよう。

練習があるなんて言ったら‥浜田は落ち込むに決まってる。


仕方ないことだけど、練習には出なきゃいけない‥‥。


でも浜田のことも大事だ。




泉「‥‥浜田に‥謝って来なきゃ。」


栄口「うん。そうしなよ。」


泉「教えてくれてありがとな!栄口。それじゃ!」




自転車の重いペダルを踏みながら、俺は徐々にスピードを上げていく。


早く‥言わなきゃ。



浜田の家に着いたときは、夜の8時をまわっていた。


玄関のチャイムを鳴らしても出ないもんだから、バイトなのかと思い、合い鍵を使ってお邪魔する。

なんか合い鍵とか‥こっ‥恋人‥同士みたいで‥緊張する。


いや、実際そうなんだけどさ‥。




綺麗な部屋の壁にかかったカレンダー。


何処かから貰ったものだろう。
浜田はカレンダーなんて、わざわざ買うような奴じゃない。



要らないカレンダーの日曜日に大きな花丸がついている。


あぁ‥浜田もこの日を楽しみにしていたんだ‥と思うと、酷く胸が痛んだ。




泉「‥‥浜田‥」




急に恋しくなった人の名前を呼んでみる。


しかしそれは誰にも届くことなく消えていく。



ベッドに脱ぎっぱなしになった浜田のシャツを掴むと、俺はその匂いに安心して‥いつの間にか眠ってしまっていた。
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