おお振り

□カルピスの味【甘】
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バンッとドアが叩かれる音。


俺は顔を挟んで、両方の手をつけられた。自然と浜田を見上げる体制になるが、今の俺は後ろ向き。


だから浜田の顔なんて見えない。

と言うか、俺の顔を見られたくなかった。




浜田「何…いきなりどうしたの?」


泉「うっせぇ…」


浜田「こっち向け、泉。」


泉「向かねぇ!」


浜田「いーから!」




ぐいっと掴まれる顎。


その拍子に浜田と目が合う。




浜田「泣いて…る…?」


泉「…っ…泣いてねぇ!」


浜田「意地張るなよ。」


泉「……っ…」




浜田の言葉を聞いた瞬間、いきなり悲しくなって、俺は浜田の腕の中で泣いた。


しばらくして泣き止むと、浜田は俺に問いかける。




浜田「なんで泣いたの?」


泉「…………」


浜田「いずみ。」


泉「…お前が女子とばっか仲が良いからだろ。ムカつくんだよ…そーゆーの……」




ボソボソ言った言葉にも関わらず、浜田にはちゃんと聞こえたらしい。


ぎゅうっと俺を強く抱きしめると、深い深いキスをされた。




泉「んぅ…っ…」


浜田「俺が好きなのは泉だけだから。」


泉「…………」


浜田「だから許して?」


泉「…もっかいしたら許してやる。」




俺達はもう一度深いキスをした。

舌が痺れる感覚、混じり合う吐息と口内が熱くて溶けそうな感覚、全てが気持ち良い。




浜田「…続きもする?」


泉「明日部活あっから無理。」


浜田「でも泉もシたいんじゃ…」


泉「しつこい。黙れ。自意識過剰なんだよ。」




頭をゴインと殴ると、俺は立ち上がった。




浜田「俺は泉としか、こういうことしないからな!」


泉「…ったりめーだ。」




俺がカルピスを入れろと言うと、浜田はそれに従う。

こういうことが出来るのは、きっと俺だけ。




浜田「ほぃ、カルピス。」


泉「おーさんきゅ。」




掴もうとしたコップが手からすりぬける。それは浜田の口へと運ばれていった。

なにするんだと言おうとしたとき、それはキスで封じられてしまった。


甘い甘い、カルピスの味を、もっと甘い味へと変える。




浜田「…いずみ、大好き。」


泉「……おれ…も…」




もしかしたら、明日の部活…遅刻すっかもな…。




fin.




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