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□迷子の猫【甘】
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「けんまか!高校生!?」


「うん」


「何年!?おれ1年!」


「‥‥にねん‥」


「!!」




俺が2年と口にした瞬間、顔色が変わる。


俺が学年を聞いて少し言うのをためらったのは、上下関係とか‥そう言うのが嫌いだからだ。

それで相手が恐縮したりするのは‥凄く嫌だ。




「やべっ先輩だ!すみません!」


「いいよ‥そういうの‥、体育会系の上下関係みたいなの‥きらいだ‥」


「あ‥そう‥なの‥」




また、沈黙。

俺がちょっと気を悪くしたような言い方をしてしまったから‥そうなってしまった。


自分から会話を振ることも出来ないし、俺はその沈黙が破れるのを待つことしか出来なかった。




「えーと‥バレー好き?」


「うーん‥別に‥なんとなくやってる‥、嫌いじゃないけど‥疲れるのとかは好きじゃない‥」




相手はどう見てもバレーが好きなように見える。


俺とは、本当に真逆だ。


バレーはちょっと楽しいとしか思ったことが無いし‥クロが居なかったら、俺はきっとバレーをやっていない。




「けど‥‥と、トモダチ‥が、やってるし‥おれ居ないと多分困るし‥」


「ふーん、好きになったらもっと楽しいと思うけどなー」


「いいよ‥どうせ高校の間やるだけだし‥」




トモダチ、と言う言葉が少しだけ引っかかって片言になってしまった。


クロとは友達って関係じゃないし‥でも、見ず知らずの人に説明するならこの単語が一番無難だと思って選んだ。



バレーは高校の間にやるだけ、クロが居る間だけだ。


好きじゃなくても嫌いでも、クロが居ればそれは続ける理由になる。




「ポジションどこ?」


「んー‥‥セッター‥」


「へーっ!なんかウチのセッターとは違うな!ウチのはもっとガァーッ!って感じの奴!」


「ふーん‥」




全身でそのガァーッて言うのを表現して、表情もコロコロ変わる。


この人は周りから見れば、面白い人なんだなと言う印象を持った。



俺は‥別にどうも思わないけど。




「ちなみにおれはミドルブロッカー!」


「へー‥」


「やっぱりヘンだと思う?MBは背の高い奴がやるポジションだもんな」


「‥うん‥まぁ‥そうだろうけど‥‥別に」


「!」




視線をゲームに戻しながら、俺は言葉を口にした。


ちょっとだけ、親近感が湧いた。


俺も、似たような事を言われたことがあるから。
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