黒バス
□好きの期待【鬼畜甘】*
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荒んでいた俺に希望をくれた人。
バスケと言う存在。強く輝いていた光。
それが青峰っちだった。
俺はこの人が憧れであり、そして好きでもあった。
いつかきっと追いついて見せる。そんな事を胸に抱いて。
「1on1しないっスか!?青峰っち!」
毎日のように俺は青峰っちに挑む。
けれどやっぱり勝てない。そんな毎日。
悔しいけど、いつか追い抜いて見せる。そんな希望を持つ毎日が楽しかった。
こんな日々がずっと続いていくものだと、俺は疑わなかったのだ。
「あー‥やっぱり勝てねぇっスわ」
「俺に勝とうなんて、お前もまだまだ先がなげーな」
「そんなことないっスよ!すぐに追い越して見せるっス!」
俺でもコピーできないようなその進化の速さ。
それはもはや天才の域だ。
綺麗なそのフォームに俺はいつも釘付けになってしまう。
あぁ、好きだ。
こんな風に自覚してしまうのだ。
「黄瀬‥おい、黄瀬!」
「うわぁっ!?‥な、なんスか‥?」
「なにボーっとしてんだよ、バァカ。そろそろ帰るじかんだろーが」
「え‥もうそんな時間‥」
「はら!さっさと着替えるぞ!」
あーあ、今日も一日が終わってしまった。
青峰っちと対戦できるこの時間は、あっと言う間に過ぎてしまう。
帰りたくないなと思いながらロッカーを開けてユニフォームを脱ぎ始めると、ふと青峰っちの視線を感じて振り返る。
‥なにか俺、変な事したっスかね?
「青峰っち?どーしたんスか?」
「‥いや、身体はやっぱりアレだけど‥女みてーな顔してるなって‥」
「女みたいって‥嬉しくないっスけど‥、綺麗って事っスか?そりゃどーも」
「俺、お前なら抱けるかも」
どきっと心臓が高鳴る。
いや、ちょっと待って。俺、あんたの事好きなんスよ?
そんなこと言われたら‥ちょっと期待しちゃうじゃないっスか。
「や、やだなー青峰っち!冗談でも‥」
「お前、女とシたことあんの?」
「っ‥あ、青峰っち‥そういう話は‥」
「あるんだな?」
俺の焦るような表情をみてニヤリと笑う青峰っち。
そりゃ俺は女の子にもモテちゃうから、この歳で経験したことは何度かある。
好きな人にそんなことを言われて、どんな顔をしていいかわからずに俺は口ごもってしまい、顔が赤くなるのを抑えられなかった。