黒バス
□愛の痛み【甘】*
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こんな気持ちになるなんて思いもしなかった。
この気持ちをなんて呼べばいいんだろう?
「はぁ‥」
女の子に人気があってバスケも上手い黄瀬君。
嫉妬ってわけじゃない。バスケを始めたばかりなのに、彼のセンスは本当に凄いものだと思っている。
でも‥最近はその光景を見ているとイライラするんです。
「‥黄瀬君、」
誰も居ないバスケ部の更衣室。
そこには黄瀬君のロッカーもある。
ロッカーの中にあるユニフォームを手に取って空気を吸い込むと、彼の匂いがした。
こんな変態みたいなこと‥誰かに見られたら引かれる事だろう。
「良い匂い‥」
汗水で汚れたユニフォーム。
他人からしてみれば、決して良い匂いと呼べるようなものではない事。
それでも僕は、彼の使っている物や、身に着けている物、彼に関する全ての物に欲情するようになっていた。
「‥気持ち悪いですね。」
狂っている、イカれている。
自分でも自覚しているし、本当にその通りだと思います。
黄瀬君の物が欲しくなって、何度か私物を盗んでしまったこともある。
消しゴム、シャーペン、ストラップ、タオル。
あぁ、僕はいつからおかしくなってしまったんでしょう。
「っ‥はぁっ‥、」
胸いっぱいにその匂いを吸い込んだら、なんだかムラムラしてきてしまった。
自分でも信じたく無かったけど、僕は黄瀬君に発情しているのだ。
何度か夜のお世話になったこともある。
同性にこんな感情を抱くなんて‥本当に狂っている。
「もう、誰も‥居ないですよね‥?」
今日は用事があるからと言って、赤司君から鍵を任された。
元々僕は存在感が薄いせいもあって、皆に気付かれることなく先に帰られてしまい‥一度学校から出る前に体育館の鍵を掛けられてしまったことがある。
それ以来、赤司君は自分に用事がある日は僕に鍵を任せるようになったのだ。
「っ‥はぁっ、ぁっ‥きせ、くっ‥」
ベンチに腰掛け、ユニフォームを片手に自身を触る。
あぁ、彼の匂いがこんなにも近くにある。
まるで自分が彼に抱きしめられているような錯覚を引き起こし、興奮を隠さずにはいられなかった。
「あっ、ぁ‥っ‥はぁっ、ッ‥き、せっ‥くッ‥」
イキそうになる自身をぎゅうっと握り、自分に少し意地悪をする彼を想像してゾクッとする。
「黒子っち、まだイッちゃダメっすからね」
そんな声が聞こえて来るようだった。
匂いを嗅ぎながらぐりぐりと先端を弄ると、透明な汁が溢れて来る。
興奮すればするほどそれは糸を吐き、彼が僕の名前を呼ぶ。