黒バス

□一つになる事【甘】*
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つまらない。


そう言ってその人は僕の前から消えた。




「お前、何も感じないのな」




そうです。


全部、全部、僕が悪いんです。




「前の恋人にも言われなかったか?」




僕の好きになった人は男の人で、僕がこんな気持ちになるのは初めての事で。


正直戸惑ったけど、その人が僕を好きだと言ってくれて本当に嬉しかったんです。




「好きじゃねーの?俺の事」


「ごめ、んなさい‥」


「‥やっぱもうダメだな。」




身体の関係なんて言われてもよくわからなくって、好きな人に触られても全然気持ち良くなかった。



つまらない、本当にその通りだと思います。



だからもう恋なんてしないって決めたのに、弱った僕の心に君が入り込んで来た。




「黒子っちの事が好きなんス」


「‥黄瀬くん、とうとう壊れてしまったんですか?」


「茶化さないで欲しいっス!俺は本気なんスよ!」




その人と別れて数週間。


黄瀬くんが僕に告白して来た。



ただのチームメイトが僕に好意を抱いていたなんて‥知らなかった。




「丁重にお断りさせて頂きます。」


「うわ、瞬殺っ!?」




また、つまらないと言われてしまう。


そんな不安があった。



それに過去の傷も癒えないまま黄瀬くんと付き合ったら、きっと失礼になるだろう。




「俺、女の子にフラれた事ないんっスけどね‥ま、告白するのは初めてっスけど。」


「だから僕の事は諦めて下さい」


「いーや、フラれたくらいじゃ俺はくじけないっスよ?」




手を取り、真っすぐな目で僕を見る。


それは黄瀬くんが時折見せる、本気のときの顔だった。




「黒子っちに恋人が居るって諦めていたんス。‥でも、別れたんスよね?」


「え‥‥どう、して‥」




誰にも言ってない。


付き合っていることも、別れたことも。


男同士なんてきっと気持ち悪いだけだろうから。




「好きなんスよ?見てればわかるっス。ずっとずっと‥黒子っちのことが好きで‥」


「‥僕は好きじゃありません。君とは普通の友達で居たいんです。」


「絶対振り向かせるっス!‥黒子っち、覚悟するっスよ!」




そう言われたのが‥もう何ヶ月前の事だったか。



僕は黄瀬くんと付き合い始めた。


黄瀬くんは本当に僕の事を思ってくれて、大事にしてくれる。



こういうのを‥幸せ、って言うんでしょうか?




「ね、黒子っち‥」


「‥っ‥‥ん‥」




僕達はと言うと、キスくらいはする関係にまで発展していた。


しかし‥それ以上はやっぱり怖い。



僕の中でトラウマになっているのだ。
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