3
□情けない人【甘】
1ページ/3ページ
カッコイイなんて事は絶対言ってやらない。
だってそんな事を言ったらコイツは調子に乗るから。
だから今日もこうして、俺は浜田を自分の思うままに使ってヘタレっぷりを見ることにしている。
情けない所を見て置けば‥そんなにドキドキすることもなくなるだろうし。
「泉!パン買って来た!」
「おせーよ」
「だって購買混んでたからさ〜‥」
「コーヒー牛乳」
「はいはい、買ってきてるよ」
そう言って浜田からコーヒー牛乳とメロンパンを受け取り、それを無造作に取り出して貪る。
浜田はと言うと俺と対面するように座り、いつものように脚を組みながらサンドイッチを食べていた。
そんだけで良く足りるよな、とか思いながら。
学校も、応援団も、バイトも、全部ちゃんとやっている。
そんな一生懸命な所も俺は見ているし、俺達が部活を優先してクラスの事を放ってしまう時も浜田はフォローをしてくれているらしい。
そんなお人良しな部分がまたムカつく。人が良いってこういう事を言うんだろうな。
「なぁ、泉」
「なんだよ」
「‥‥‥」
「‥何、」
浜田は俺を呼んだのにも関わらず、無言でじっと俺の目を見て来るだけ。
何がしたいのか分からず、俺はイライラして来る。
「ううん、やっぱりなんでもない」
「はぁ?」
勝手にこっちを見てそんな勝手な事を言って。
見つめられているこっちの身にもなってみろ。
そんな目で見られると‥こっちの身が持たないってこと。
浜田のくせにムカつくんだよ。
「用がないなら呼ぶなよ」
「用ならあったんだけど‥」
「は?」
「ここで言ったら泉、怒ると思って」
「‥意味わかんねーよ」
浜田が目を反らす。
その意味が俺にはよく分からなかった。
言っても怒らない?と首を傾げる浜田にキモいなと思いつつ、内容によるけどな、と俺は返した。
浜田が手招きをして、俺の髪の毛に触れる。
それはちょっと当たったって言うくらいで、耳元で内緒話をするような感じだった。
そんなに周りに聞かれるとマズイ事なのかよって。
俺は浜田のそんな行動に付き合ってやることにした。
「キスしたい」
「‥‥は‥?」
「スキアリ」
「ッ‥!?」