3
□相容れぬ二人【鬼畜甘】*
1ページ/6ページ
学校内でも有名な金髪にピアスをした不良。
普段は危害のなさそうな顔をしているが、その裏の顔は酷いものだ。
その長身に加えて威圧感もあるものだから、大抵の男は寄り付かない。
女には割と紳士的な振る舞いで、噂ではどんな女でも喰ってしまうと言うもの。
‥まぁ、実際その通りなんだけどね。
「浜田良郎!そこを動くな!」
あぁ、また厄介なのがやって来た。
これも日常と言えば日常なのだが‥そろそろ手を引いてくれないと、そのうち俺から手を上げてしまいそうだ。
悪意は無いから放っておいているけど、ウザい事には変わりない。
「いい加減、髪を黒に戻したらどうだ?‥ピアスも外せ。校則違反だ」
「これはこれは、委員長。いつもお仕事‥大変だねぇ?」
「誰のせいだと思ってんだ!この野郎!」
黒い髪に黒ぶちの眼鏡。
瞳は綺麗な青みを帯びているのに、その黒さで全てが台なしだ。
きっちりと第二ボタンまで閉めたワイシャツにネクタイ。
シャツをズボンの中に入れるとか、見ているこっちが暑苦しくて仕方ないよ。
頬に出来た雀斑もさらにダサいって感じを醸し出しているし‥救いようが無いな。
「変な物は‥持ってきて無いだろうな?この前、タバコ吸っていたっていう生徒が‥」
「いやいや、それは俺じゃないよ。2組の奴らじゃね?」
「‥ふん、どーだかな。まぁ今はそのピアスを外すだけで勘弁してやる。もうすぐ授業だしな」
「‥なんだよ。信用ねーな‥」
しぶしぶピアスを外してポケットにしまうと、委員長は口先を上げて悪戯に笑ってみせた。
「そっちの方が良いぞ、随分大人しく見える」
「別にそんなん見えなくて良いし。委員長もいい加減、俺に干渉するの止めてくれない?」
「ほら、早く来い。授業だ」
今日も朝から美人先生が居る保健室で寝ようと思っていたのに‥朝っぱらから俺の一日が台無しになった。
こんな委員長の言いなりになんてなりたくないのに、捕まれた腕を解く事が出来ない。
また此処で逃げても面倒なことになるだけだ。
そんなことを思いながら、俺はしぶしぶ委員長の後に続いた。