□君と俺は正反対【甘】*
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「おーい。ヘタレフトー」


「なっ‥!ヘタレフトじゃないもん!」


「え?じゃあクソレフトか?それとも米か?」


「うああぁあん!」




泉はいつでも俺のことを虐める。

でも、それは愛情の裏返しだと思うことにしている。


そうでもしなきゃ‥泣いちゃいそうになるんだもん。



こんな弱気で意気地無しなのと、強気で積極的な正反対の性格。


全くタイプが違うのに‥俺達は付き合っている。




「ねーいずみんー」


「キモい。殴るぞ」


「ふぇっ!?ご、ごめんなさいぃ‥」


「‥ヘタレ。たまには強引に引っ張ってみろよ‥」




つんとそっぽを向いてしまう泉を、ちらりと横目で盗み見る。

可愛くて仕方ない。


泉は‥こんな俺で良いのだろうか?


ヘタレで、頼りなくて、ふわふわしたようなウザイキャラ。

あ、なんか自分で言ってて悲しくなってきた。




「いずみぃ‥」


「‥なんだよ。ウゼェな。」


「ふぇっ‥や、やっぱ‥俺って‥うざいの?」


「‥うぜぇ。そーゆうウジウジしたとことか、ヘタレで何も出来ないとことか!全部!」


「‥‥っ‥!」




思わず泣きべそをかいてしまい、泉の前でわぁわぁと泣き出してしまう始末。


やっぱり泉は俺の事‥好きじゃないの?


愛情の裏返しとか、それはやっぱり俺の妄想でしかないの?




「ちょ‥なんで泣くんだよ!」


「っ‥うっ‥泉‥俺のこと‥嫌いなの‥?ふぇぇん!」


「‥バカ。やっぱりウゼェよ‥お前」




ぐすぐすと泣き腫らした酷い顔に、泉は軽いキスを落とした。

それは俺の涙を止めるのには十分過ぎて。


俺はポカンと口を空けて泉の顔を見上げる。
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