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□浮気の前兆【鬼畜甘】*
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「俺との約束より優先するしょうちゃんって‥栄口の何なワケ?」
「しょうちゃんは‥友達だよ。あの時は久しぶりに会ったから、すぐに遊ぶしかなくて‥」
本当に‥そんな理由?
栄口にとって、しょうちゃんは俺より大切な存在なの?
そう思うと、腹が立って仕方なかった。
試合が終わった次の日、俺達はデートすることになっていた。
でもその前日‥栄口から電話越しに言われた言葉は「家族で出掛けるから行けない」と言うことだった。
埋め合わせは必ずすると言っていたし、家族で出掛けるなら仕方ないと思って、俺は「行っておいで」と声をかけた。
お父さんしかいない栄口の家系にとって、家族で出掛けるのはとても貴重なことだからと思って言った言葉だった。
それなのに‥‥
「本当のこと言えば良いだろ?なんで家族と出掛けるだなんて嘘ついて‥」
「だって‥そしたら水谷が怒ると思って‥」
「あぁ、そのしょうちゃんとやましい事でもする予定だったんだ?」
「ちがっ‥!ただ‥その‥ごめん‥」
しゅんとする栄口を見て、俺は舌打ちをした。
そんな顔して許されると思っているの?
栄口としょうちゃんが遊んだとバレたのは、俺が偶然そこを通りかかったのがきっかけ。
デートをキャンセルされて、散歩がてらコンビニに行こうとしていたら‥栄口としょうちゃんに出くわした。
しかも先に俺に話し掛けて来たのは、そのしょうちゃんの方だった。
どうやら俺の顔を覚えていたらしい。
その時の俺達はというと気まずい空気になり、一言二言だけを口にしただけですぐにその場から離れた。
そしてその状況を詳しく聞くため、改めて俺は栄口を呼び出したのだった。
「‥で?しょうちゃんとは何していたの?」
「えっと‥ゲーセン行ったりとか、コンビニ行ったり‥」
「本当に、それ以外は何もしていないんだね?」
「う、うん‥」
やましい事は無かったとは言え、俺は楽しみにしていたデートをキャンセルされて怒りを隠し切れなかった。
栄口はそこまで楽しみじゃなかったってことでしょ?
しょうちゃんと遊ぶ方を取るくらいだもん。
「埋め合わせ‥してくれるんだよね?」
「あ‥うん。今度いつデートにする?俺が全部奢るし‥」
「あぁ、そんなことは良いんだよ。」
「‥?」