捧げ物

□独占【シリアス甘】
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浜田「なんで解らないんだよ!」


泉「もう嫌だ‥顔も見たくない‥‥。」




俺達は喧嘩した。



些細なことじゃない。


俺にとっては重大なことだ。




浜田と喧嘩した夜、俺は部屋で泣いていた。


みっともない泣き方をして、その泣き声は家族にも知られてしまう程のものだった。



いつもなら二杯もご飯をお代わりするほどなのに、一口も飯が喉を通らない。




兄「孝介‥大丈夫か?」


泉「‥‥あ‥にき‥」




今は一人にして。とだけ兄貴に告げた。



兄貴は昔から俺の事を心配してくれていて、ウザイと思うときもちょくちょくある。


でも、嫌いにはなれない。


本当に心配してくれてるんだなってことが解るから。




兄「お前が泣くことなんか、滅多にないからな。何があったんだ?」


泉「‥話したくない。」


兄「そっか。落ち着いたらいつでも聞いてやるからな。」




そう言って頭を撫でられるだけで、俺はまた涙が溢れた。


喧嘩のことなんか言えるわけがない。

何故か兄貴は浜田を敵対視していて、言ってもきっと怒らせるだけだと俺は思ったからだ。




泉「浜田の‥馬鹿野郎‥」




喧嘩の原因は、今日のデートの待ち合わせで起こったことだった。



久しぶりのデートに、俺は待ち合わせきっかりの時間に行った。


でもそこに浜田は来ていなくて。

バイトがあると言っていたから少し遅れるのかもしれないと思って、俺はそのまま待つことにしたんだ。




過ぎていく時間の中、何人かの人に声をかけられたりしたけど、軽くあしらった。


時間はもう1時間を過ぎている。




泉「‥‥遅い‥」




電話も何回かかけた。

一回も出てくれない。


ここまで遅いと何かあったのかと心配になり、俺は浜田のバイト先に向かうことにした。




泉「え‥?3時間も前に?」


「あぁ。だってアイツ、11時にはアップしたぜ?」




おかしい。


なんで電話にも出ずに‥デートの時間にも遅れて‥‥。



考えながら歩いていると、あるカフェで金髪の男がお茶をしているのが見えた。


あぁ。原因はこれか。



女の人とお茶をする浜田の姿。


俺は怒るよりも先に、連絡が来ないようにと携帯の電源を切って、家に向かって駆け出した。
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