捧げ物
□甘い時間の作り方【甘】
1ページ/2ページ
「ちょ‥やだ‥!もっ‥」
「なんで?良いじゃん。好きなんだから。」
「だからって‥さっきから‥」
「んー?」
「‥欝陶しいんだよッ!!」
後ろから泉を抱き抱えていた俺は、ガンッと顎に頭突きをされてベッドに身体を預けるハメになった。
ふんっとそのまま前を見据えて、テレビに視線を戻す泉。
せっかく二人っきりでいちゃいちゃしようとしたのに‥これだもんな。
甘い雰囲気なんか作れやしない。
「うぜーマジうぜー」
「ちょ‥そんなこと言わないでよ!」
「お前暑いのにベタベタするし、なんか俺の後ろに座ってるし、さっきから服の中に手入れたりキスしたりでウゼェんだよ!!」
俺はただ泉のことが好きでそうしているだけなのに‥どうしてこうも上手くいかないのだろう。
ちゅっと首筋に、頭に、手に、頬にキスをして。
さらさらとした頭を撫でて抱きしめる。
脇腹も少しだけ触ったりしたけど‥テレビ見ているのに邪魔しちゃいけないと思って、それだけで我慢しているのに。
「本当はえっちしたいのに我慢してるんだからッ!」
「心の声を声に出して言うな!このデカ犬!!」
ぼすっと今度はクッションを投げ付けられた。
むーっとした顔で泉を見ても、その瞳には俺が映らない。
ねぇ、どうして見てくれないの?
「いずみぃ‥」
「キモい声出すんじゃねぇ。」
「触りたいぃ‥」
めそめそとしていたら、泉は急に俺の胸倉を引っ張ってこう言った。
その瞳には俺が映っている。
「触るならちゃんと触れ。‥‥キスするなら‥口にしろ、バカ。」
それだけ言うと、泉は真っ赤になりながら顔を反らしてしまった。
‥なーんだ。
泉も俺と同じ気持ちだったんだね。
「気付かなくてごめんね。」
「べっ‥別に‥お前なんかっ‥」
「‥キスしていい?」
そんなこと聞くな。
その言葉を合図に俺は唇を重ねた。
せっかく出来た甘い雰囲気を今度こそは壊さないように、俺はそっと泉の頬に触れた。
fin.
→あとがき