捧げ物

□部活後の部室【甘】*
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「え‥?」




耳に入ってくる水音。


そして微かに聞こえる喘ぎ声。




「や‥ぁ‥み、ず‥‥たにっ‥!」


「‥っ‥くっ‥ぁ‥」




どうしよう。


俺は、絶対に遭遇してはならない場面に遭遇してしまったようだった。




「栄口‥か?」




本人のものとは思えない甲高い声で必死に名前を呼んでいるけど‥この声は恐らく栄口。

だって水谷の名前を呼んでいるんだから‥そうじゃなきゃ、俺は今頃その相手を締めてる所だ。


名前呼んでんだから‥相手は水谷で間違いないよな?

もしも水谷じゃなかったら、そいつをぶっ殺してやる。



部室から聞こえてくるその官能的な声は、俺の頭にも響いてくる。


どうしよう‥これじゃあ忘れ物を取りに入れない。




「おーい!泉〜!携帯鳴らしたけど出ないから‥‥」


「うわっ!!馬鹿っ!」




こっちに駆けてくる浜田にダッシュで近づくと、俺は浜田の口に自分の手の平を押し付けた。




「はぁっ‥ぁ‥みずたにっ‥いま‥」


「なに?も‥俺っ‥余裕、ないっ‥から‥」


「あっ‥!はぁ‥やっ‥あっ、あっ‥あぁ‥!」




栄口に‥気付かれたかな?

でも水谷は気にも止めなかったようで、そのまま行為を再開し始めた。


くそっ‥なんで俺がこんな気を使わなきゃいけないんだ‥。




「もしかして‥今誰かヤってんの?」


「あぁ‥だから忘れ物が取れないんだよ。ったく‥」




木の陰になるその場所に座り込み、部室から誰か出て来ても解らないように浜田も座り込んだ。


声は若干聞こえるけど、仕方ない。



‥俺は悪くないからな!


こんなとこでヤってる奴が悪いんだ!!




「はぁ‥」


「どーするの?待つの?」


「待つしかねーだろ。」




ガタガタと激しく揺れる物音がする。

それに伴って聞こえる途切れ途切れの喘ぎ声。


別にAVを見ているわけでもないのに‥少しだけ、ほんの少しだけ恥ずかしい気持ちになってしまう自分がいた。




「ねぇ、泉」


「‥なに?」


「さっきから顔‥赤くない?発情してんの?」




浜田に言われて、バッと自分の顔を手で覆った。


その頬は、ほんのり熱くなっていて‥‥

あれ?と思わず首を傾げた。




「それと‥此処。」


「‥あっ‥やっ!」
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