おお振り

□お泊り【甘】*
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母「じゃあ行ってくるわね。お留守番頼んだわよ。」


三橋「う…うん。」




今日からお父さんとお母さんは旅行に行ってくる。


俺は家で留守番。

いつも一人で留守番とかしてるけど…やっぱり家に一人でいることは怖かった。



誰か一緒にいてくれる人がいれば良いのに…そう思った時、玄関のチャイムが鳴った。




三橋「はっ…はい!」


阿部「よぅ。」


三橋「あっ…阿部くん…!?」




俺の家のチャイムを鳴らしたのは阿部くんだった。


よくわからないけど大きな鞄を持っていたので、俺はすぐに家の中へと上がらせた。




三橋「ど、した…の?」


阿部「今日俺んちの親がお前の親と旅行に行くとか言っていたから…泊まりに来た。」


三橋「えぇっ!?そ、そう…なの…?」




俺の親が旅行に行くのは知っていたけど…阿部くんの親も行くことは知らなかった。


泊まるって…それって、一日中、阿部くんと一緒にいられるってコト…?




三橋「あべ、くん!俺…阿部くんに…と…泊まって、ほしっ…!」


阿部「あー…そのつもりだから…あ、ほら、ケーキ買ってきた。」


三橋「けっ…ケー、キ!?」




俺は目をキラキラさせながらケーキの入っている箱を見た。

想像しただけで唾がたまってくる。




阿部「風呂あがりにでも食おうぜ。」




そう言って阿部くんは笑ってみせる。


俺はコクコクと頷いてケーキを冷蔵庫へとしまいにいった。




ケーキを冷蔵庫へしまった後、俺は夕食の支度を始めた。

…と言っても、お母さんが作ったのをレンジで温めるだけ。



食事が二人分ある…と言うことは阿部くんは元々来ることになっていたのか…。


ちょっと嬉しくなって俺はふにゃと笑い、温めた食事を取り出そうとした。



だけどその時、指がもの凄い勢いで熱くなった。




三橋「あっつ…!!」


阿部「三橋!?」




熱くなっていた器は俺の指も熱くした。


阿部くんはその様子を見て、凄く焦っているようだった。




三橋「だ…だい、じょ…ぶ…だから…」


阿部「馬鹿!さっさと冷やせ!!」


三橋「ごっ…ごめ…んなさ……」


阿部「早くしろ!!」




俺は阿部くんに怒られたことで半泣きになり、無理矢理腕を引っ張られた。


ジャーっと流れた水は俺の指をじわりと冷やした。




三橋「あ…あべく…痛、い……」


阿部「我慢しろ。」




ぐっと涙を堪えて俺は痛みに耐えた。


しばらく我慢してると阿部くんは手を離し、氷水の入った袋を渡してくれた。




阿部「当てとけ。」


三橋「も…もう…大、丈夫…だよ…?」


阿部「良いから。あとは俺がやる。ピッチャーなんだから、もっと手を大事にしろよ。」


三橋「…う、ん。」




その後、食事の支度は全部阿部くんがやってくれた。


阿部くんに触られた手。


氷水で冷やしているはずなのに熱くなって…心臓がドキドキして…ご飯の味なんて全然わからなかった。
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