おお振り

□教室の中で【甘】*
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田島「じゃあな!阿部!」


阿部「じゃあな。」




俺は田島と少し会話をしたあとに帰る支度を始めた。


支度をしがてら外に目をやると、キョロキョロと何かを探している三橋がいることに気がついた。


そして校内からは田島が出て来て、三橋と何かを話しだした。



正直…少しイラッとした。


俺がいない所で三橋が他の奴と話しているなんて…。




一人でイライラしていた所に、さっきまで校庭にいたはずの田島が飛び込んできた。


下に三橋の姿はもうない。




田島「阿部!!」


阿部「どうした?忘れ物か?」




あえて怒りは表に出さないようにして、俺は田島に問い掛けた。

田島は息を切らしながら俺に言う。




田島「三橋が今からここに来る!」




三橋が…ここに…?さっきまでの会話はそれを話していたのか…?


でもだからって何で言う必要が……。




田島「と…とにかく三橋が来るから、何かあったら絶対教えろよ!!」


阿部「お…おぅ?」




俺は意味がわからずに、教室を出ていく田島を見送った。


しばらく待っていると、三橋が教室へと入って来る。




三橋「あ…阿部くん…」


阿部「どうした?」


三橋「あの…俺…阿、部くんに言い、たい・・ことが…あって…」




机二個分を挟んで俺達は向かい合った。

田島が言っていたのは三橋が来るということだけ…一体何だってんだ?




三橋「あの…あ、のっ…」


阿部「用があるなら早く言えよ。」


三橋「…っ……お、れっ…!」




三橋は顔を上げて俺を見た。そしてまた顔を伏せながら小さな声で言った。




三橋「俺…やっぱり…阿、部くんが…好、き…だ……」


阿部「はぁ?」




いきなり好きだと告白してきた三橋。顔を真っ赤にして俯き、ゴニョゴニョと何かを言っている。




阿部「どういう意味?」


三橋「だから…俺、は・・阿部、くんが好、きで……」


阿部「それは捕手としてってこと?」


三橋「違っ…あ、の…」




あぁ、そう言う好きってことか…と俺は納得した。


三橋も…俺に惚れていたのか…?



じゃあ…こういうことしても……




阿部「…態度で示さないとわかんない。」


三橋「え??」




頭にハテナマークを浮かべる三橋に俺は言葉を続けた。




阿部「俺の事が好きなら、行動で表してみろよ。」


三橋「う…うん……?」




再びハテナマークを出しながら頷く三橋に俺は怒鳴った。




阿部「あのな!ハテナ浮かべながら頷くの止めろよ!!わかんねぇんだろ!?」


三橋「わ…わかってるよ!……?」


阿部「もういい!」




机をバンッと叩いて、俺は三橋に近寄る。

その音に三橋はビビったようで、その場からは一歩も動こうとしなかった。




三橋「うわぁ!」
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