□運命の恋【甘】*
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周りからどう思われていても、俺には関係ない。

俺が人事を尽くしているのだから、天は俺に味方をしてくれている。


毎日欠かさずしている事、やるべきこと、全てを尽くして天命を待つ。


そんな俺の日常に、今までに感じたことのない感情が芽生え始めたのだ。




「高尾」


「んー?‥何?真ちゃん。」


「お前、星座は?」


「はぁ?」




朝の第一声にして、その言葉。


他人の星座なんてこれっぽっちも興味が無かったが、俺はコイツに興味が湧いたのだ。




「俺にそんなこと聞いて‥何かあんの?」


「良いから答えるのだよ」


「‥蠍座、だけど‥それが何‥?」


「そうか」


「え、マジ意味わかんないんだけど」




ぽりぽりと頭を掻きながら、俺のその意味不明な言動に首を傾げる高尾。


その存在が愛おしいなんて告げたら‥きっとコイツは驚くと思う。


出合った時から薄々感じていた。これは運命なのだと。




「血液型は?」


「‥O型だけど。」


「ふむ‥なるほどな」


「あのさぁ‥真ちゃん、さっきからどうしたのよ?」




やはり、俺の読みは正しかった。


チームメイトで、教室の席は前後。そして星座占い、血液型占い、共に俺との相性は抜群に良い。


感じたことのない胸のざわつきは、このせいだったのだ。




「高尾、付き合って欲しい」


「‥何処に?」


「まずは手を繋ぐのだよ」


「手‥?マジ真ちゃんわかんねーんだけど‥それが今日のラッキー行動なわけ?」


「うるさい、愚図愚図するな」


「へいへい」




ぎゅっと握った手から感じる温度。

その手も俺の手としっくり噛みあって‥触れていて心地よい。


高尾の目をじっと見つめると、俺の事をきょとんとした顔で見返して来る。


それもなんだか小動物のようで、その顔が可愛く思えてきた。




「真ちゃん‥そろそろ授業はじまるぜ?」


「あ‥あぁ、続きはまた後でするのだよ。」


「‥うん?‥またすんのか?」


「俺は互いをもっと知って、深く分かり合えた方が良いと思うのだよ」


「あー‥そういうことな。パートナーには必要なことだしな。」




そう言ってニッと笑う高尾の顔に、ドキドキした。

俺らしくもないその感情。男が男に恋をするなんて、悩んだりもした。


何日も何日も人事を尽くして‥そして、今に至る。

高尾の星座、そして血液型が違っていたら、俺はこの気持ちを抹消するつもりでいた。



でも‥出会ってしまった。


これは運命なのだよ。
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