その他
□拍手お礼小説
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『キスの味』の続編のようなお話です。
【忘れられない味】
最近、浜田と付き合い始めた俺。
友達でいた期間が長かったせいか、俺達はすぐにキスを済ませた。
初めてのキスは…レモン味だった。
泉「じゃあな、浜田。」
浜田「おぅ!また明日な!」
浜田と別れたあと、親から来ていたメールに気が付く。
画面に表示された文字は“コンビニで牛乳買ってきて。”と言う用件しか書かれていないものだった。
泉「仕方ねぇなぁ…」
俺は元来た道を辿り、帰り道の途中にあるコンビニへと入っていった。
店内に入ると、すぐさま牛乳を探した。
でも目に入って来たのはお菓子ばかりが並んでいるコーナー。
泉「たまには…いっかな…。」
ぼそっと呟いてお菓子を眺める。
今時は色々な味があんだなー。とか思い、小さな子供がキャハキャハはしゃぎながら通り過ぎるのを横目に、そのコーナーを出ようとした。
泉「あ…これ……」
目に入ってきたのはレモン味ののど飴。
浜田から貰ったのと…同じものだった。
泉「……一個だけ…」
浜田「あれー?泉??」
いきなり呼ばれた声にドキッとして振り返る。
そこには、さっき別れたばかりのハズの浜田がいた。
浜田「買い物?言ってくれれば付き合ったのに〜」
泉「いっ…いきなりメールが入ったんだよ。牛乳買ってこいって……」
なんか俺…もの凄いドキドキしてる。
別にやましい事してる訳でもないのに…。
浜田「でもここってお菓子コーナーじゃ……あっ…」
ひょいっと棚から取ったものは、俺が取ろうとしていたのど飴。
浜田「もしかして、コレ?」
泉「…っ……」
なんだかもの凄く恥ずかしくなった。
流れる汗と、真っ赤になっていく顔。
クーラーはガンガンについていて寒いくらいのはずなのに……。
浜田「まだ喉痛いの?」
…わかってるくせに。
知っててその飴を取ったくせに。
泉「死ね…馬鹿浜田…」
浜田「んー…またキスしたいなー…」
泉「はぁ?……んっ…」
こいつは本当に馬鹿だ。
人がいる公共の場で男同士のキス。
幸い、死角の所で誰にも見られなかったけど…防犯カメラにはバッチリ映ってしまった。
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泉「…もうあのコンビニ行けない……」
浜田「お嫁に行けないみたいに言うなよ。」
泉「馬鹿浜田!死ね!」
ゴスッとパンチを一つ。
痛いと腹を抱える浜田を無視して、俺は歩きだす。
浜田「待ってよ!泉〜!」
泉「うるさいうるさい!馬鹿浜田!」
俺達は家に向かって歩き出す。
コンビニ袋には牛乳。それと…のど飴が入っている。
次にするキスもレモン味…かな。
fin.