■□ ショウセツ □■
□『引力』
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小学校を卒業し、中学生になった。
彼は育ち盛りなのか身長が伸び、大人っぽくなった。
すっと通った目鼻立ちの整った顔に、すらりと伸びた肢体。
同性でも異性でも、はっとするようなカッコよさだ。
……無愛想だけれど。
彼の性格は相変わらずだった。
昔のようなわがままさは無くなったけど、かわりに無口で無愛想になった。
常に他人から一歩引いている感じかな。
ますます他の子たちが近寄らなくなった。
もっと愛想さえよければモテただろうに、もったいない。
彼とクラスこそ違えど、二人とも部活に入っていなかったから、いつも一緒に帰った。
一緒にいることが多かったけれど、言葉を交わすことはほとんどなかった。
疑問を投げかけてみても、イエスかノーか、一言二言で途切れてしまう。
周りから見たら、とても友達同士には見えないだろう。
(自分が彼に絡まれてる、ようにさえ見えるかも…)
自分自身にも仲が良いのか悪いのか、よくわかっていなかった。
ただ、彼と一緒にいたいと思っていた――。