■桜蘭高校ホスト部■

□By My Side
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パーティの片づけを終えたハルヒを魔王様が待ち構えていた。


「おい、どういうつもりだこれは」

「え?」

鏡夜が手にしていたのは、厚紙にサインペンで文字が書かれている3枚の紙切れだった。

『雑用なんでも承ります。
使用期限:2008年末日。
ただし1枚につき1作業に限る』

鏡夜は仏頂面のままカードの文面を読み上げると、あきれたように言った。

「確かに抽選会の景品に私物を提供するようには言ったが、これは予想外だったよ」

パーティの余興で、部員の私物をプレゼントする抽選会が行われた。
グッズを購入すると抽選に参加できるという商魂たくましい鏡夜の企画だった。

抽選会は大盛況のうちに幕を閉じたが、なぜか鏡夜は不満げな表情だ。
不機嫌の理由に思い当たることもない。少し戸惑ってハルヒは答える。

「自分はみんなのようなブランド品は持ってませんから、これなら安上がりでいいと思ったんですけど…なんで先輩が持ってるんですか」

当選者に渡ったはずのカードはハルヒの知らないうちに鏡夜の手元に回収されていたようだ。

なにがなんだかわからないままのハルヒに対して、鏡夜はムッツリと不機嫌オーラを撒き散らしながら続けた。


「これは責任者として俺が回収させてもらった。おまえは何を考えてるんだ、こんなものを…」

「実はそれ、環先輩のアイデアなんですよ。『お手伝い券』って」


それは今朝のことだった。

パーティーの当日になっても景品を用意していないハルヒに、環がこんなことを言ったのだ。

「庶民の世界には『肩たたき券』や『お手伝い券』という、お金はなくても気持ちの込もった手作りのプリペイドカードがあるのだろう?すばらしい習慣だと思わないか、ハルヒ!」

「なるほど、それいい考えですね」

「そうか!そうだろう!」

その後に「お父さんも欲しいにゃあ〜」という環のアピールが続いたのだが、結局ハルヒはそれに気づく事はなかった。



鏡夜は恨めしそうに唸った。
ハルヒには知るよしもなかったが、裏で「お手伝い券」を回収するのにかなりの手間とコストがかかったのだ。

「まったく…環のやつも余計なことをしてくれたもんだ」

「どうしてですか?鏡夜先輩は小学生の時に作りませんでした?」

鏡夜はキョトンとして無邪気に問うハルヒをジロリと睨むと、厳しい声で続けた。




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