■桜蘭高校ホスト部■
□若葉デート
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=プロローグ=
大型連休ともなれば、ホスト部の連中がまた無駄な計画を立てはじめるだろうと思っていたのだが。
「…暇だな」
自室のカウチソファーに肘を預けながら、鏡夜は手にした文庫本を乱暴に閉じて放り投げるようにサイドテーブルに戻す。
予定のない休日。こんなときには、買ったきり読む時間がとれずにいた本を思う存分貪り読むのだが、ここのところホスト部にかかりきりで、しばらく新しい本を買うことも忘れていたのだ。
「一人の時間などほとんどなかったからな。あいつらが何かしら騒ぎを起こすせいで」
しかたなく昔読んだ娯楽小説をめくってみたが、ストーリーは頭にしっかり記憶されている。
犯人もトリックもわかっている推理小説など、時間潰しにもならない。
「…暇だ」
さっきから進まない時計の針を恨めしげに睨むと、あきらめたように溜息をついた。
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