■桜蘭高校ホスト部■

□軽井沢で待っていて
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ここは軽井沢。

ハルヒは夏休みを利用し、父の友人である美鈴さんのペンションを手伝いに来ていた。
ハルヒを追って押しかけてきたホスト部員たちも一緒だ。

迷惑顔のハルヒにお構いなしのホスト部員たちは、1室だけの空室に宿泊する権利をかけて勝負を始めていた。

名づけて「さわやかアルバイト選手権in軽井沢」。
美鈴さんのペンションを手伝いながら、避暑地にふさわしい「さわやかさ」を一番認められた者がペンションに泊まれるのだ。

バイトの経験のない彼らはバタバタと大騒ぎをしながら、美鈴さんに気に入られようと奮闘している。
掃除をすればかえって散らかし、柵を修理させればボロボロにして…。

ハルヒにとっては余計な仕事が増えただけだった。

休憩中のハルヒは、どっと疲れた顔でそんなホスト部員たちを横目で見ていた。



「あ、鏡夜先輩」

テラスのベンチでくつろいでいる鏡夜に気づいた。

手にしていた文庫本から目を上げて、鏡夜はハルヒに視線だけで隣の席をすすめる。
ハルヒは疲れた身体をベンチに預け、ふうっと息をついた。

「休みだっていうのに、なんでわざわざ軽井沢に全員集合しちゃうんですか…」

「ま、みんなこっちに別荘もあるし。よく来ているから珍しいことでもない」

「鏡夜先輩は、夏の旅行の予定とかなかったんですか?」

「…今年は海外に行く予定も立てていなかったしな」

ここ数年の夏休みは、海外へ行っていた。
それも環の思いつきに付き合わされて。

7月ごろになると「鏡夜!今年はアンコールワットを見に行こう!世界遺産だ!」などと言い出すのだ。
鏡夜はその度にいろいろと旅のプランを考えさせられていた。

しかし、今年は夏休みが近づいても何も言い出さない。

原因はわかっている。

ハルヒだ。



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