■桜蘭高校ホスト部■
□若葉デート
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「わ…もう来てる」
ハルヒがバスを降りると、鏡夜が駅前の待ち合わせスポットであるモニュメントに寄り掛かり、腕を組んで立っているのが見えた。
「それにしても目立つ人だなぁ…」
いつも非凡なオーラで人目を引く環の派手さばかりが目立って気付かなかったが、鏡夜もこうしているとかなり目立つ存在だ。
ジーンズに細身のシャツとジャケットというシンプルな服装ながら、そのスタイルの良さと人を寄せ付けない凜とした雰囲気が、人ごみの中でもくっきりと存在を際だたせていた。
隣にたむろする同じく待ち合わせらしい女子大生のグループが、チラチラと鏡夜に視線を送っている。
鏡夜の視線が人ごみに紛れたハルヒを捕らえた。ハルヒを小さく指さして、口パクで「遅い!」と言っているのがわかる。
「す、すみませ…バスが遅れて…」
慌てて鏡夜のもとへ駆け寄ろうとした時、女性たちのクスクスという笑い声が聞こえた。
『あの子、彼女かしら』
『まさか!あの子じゃ釣り合わないでしょ』
振り返ると、女子大生たちと目が合った。自分のことを言われているのだ、とハルヒは驚く。
ふとハルヒは自分の姿に目を落とす。となり町のショッピングモールに出かけるだけだからと、ユ○クロのチュニックにジーンズというコーディネートだ。サンダルとアクセサリーはアジアンテイストでまとめている。
別段オシャレではないが、最低限の身嗜みはキチンとしているつもりなのだが。
「なんか変かなぁ…。あ、背中にハトのフンでもついてたりして」
「どうした?」
「いえ、なんか変じゃないですかね?」
小動物のようにキョロキョロと首を動かすハルヒをじっと見おろすと、スッと手を伸ばすとハルヒの頭を優しく撫でた。
「寝癖立ってるぞ」
「あ…どうも」
ハルヒは少し驚いて口ごもる。
この程度のスキンシップは環や双子たちで慣れているが、鏡夜にされるのは初めてだった。
「さあ、まずどこへ行くんだ?俺は初めて来たんだ。行き先はお前に任せるよ」
女子大生たちの視線がジッと注がれているのを感じたが、もうそちらを気にする余裕はなかった。
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