■桜蘭高校ホスト部■

□若葉デート
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「いや、今年はずっと家にいるよ、のんびり読書でもしようかと思ってね。おまえはどうなんだ、なにか予定はあるのか?」

「自分は勉強してますよ。それ以外することないし」

「…あまりにもわびしい答えだが」

それもハルヒらしい、と鏡夜は含み笑いで言った。ハルヒはからかわれたように感じたのだろう、別にいいじゃないですか、と少しむくれた声を出す。

「でも正直なところ、行楽シーズンだとかあまり意識したことないんですよね。父も不規則な仕事ですから。もともと旅行とかあんまり興味ないですし」

「そうか…」


娯楽のたぐいに興味がないのがハルヒの性格だが、果たして幼い頃からそうだったのだろうか、と鏡夜は考える。
たとえばハルヒの母親が生きていた頃。幼い子供にとって、家族そろって出かける事が嬉しくなかったわけはない。
ハルヒがこういう性格になった事には理由があるのだ。


何事にも無頓着で単純なのに、俺たちに見せるその無感情の奥には謎めいた部分があって…。

鏡夜は、自分の中でハルヒに対する興味が増すのがわかった。

何故だろう。

今までに会った誰とも違う、特別な興味。

…ハルヒともっと話していたい。



「もしもし?今の話、聞いてました?」

不意に話をとめて、ハルヒが様子を窺うように言う。
いつしか考えにふけっていた鏡夜は意識を戻された。

「すまん、もう一度頼む」

「…だから、部屋に閉じこもってたら不健康なんで、今日あたり散歩がてら参考書でも買いに行こうかと思ってるんですけど…」


ハルヒは、こう続けた。




「一緒に行きませんか?」








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