ヒロト×吹雪
□すれ違っていた心
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*ヒロトSide
「ヒロト君っ!」
今は練習試合の真っ只中。
ヒロトは同じFWである吹雪から、パスを受けているところであった。
FFIの日本代表選抜戦以来、ようやくチームにも慣れてきていた頃。
ヒロトにはかすかに、異常な感情が芽生えていた。
(――…きっとあのときから、だったのかな――。)
選抜戦のチーム分けで、ヒロトは偶然にも円堂君側になり、吹雪と一緒にFWになった。
エイリア学園にいたときはよく見なかったけど、吹雪は人より随分と白い肌で目も大きく少したれ目だし、まるで女の子みたいに可愛らしかった。
(それに、仕草も女の子みたい…)
吹雪の仕草一つ一つを、つい目で追ってしまっていた。
代表メンバーになってからというもの、俺はなんとなく吹雪君が気になって仕方なかった。
練習はもちろん、食事のときなども、何かと吹雪君に声をかけた。
幸い(?)、吹雪君は自分から人にくっついたりがあまりなかったので、いつのまにか、常に一緒に行動するようになっていた。
それはまるで、子猫がなついてくれたみたいに嬉しかった。
(…"嬉しかった"………?)
なんなんだろう、この気持ちは…。
―練習試合後、休憩を挟んでいるとき。
豪炎寺が吹雪に話しかけていたのを見つけ、ドリンクを飲みながら眺めていた。
(吹雪君と豪炎寺君、何話してるのかな…?)
二人が気になって見ていると、なんだかイライラしたり、怖くなったり、よくわからない感情が駆け巡っていた。
なんだこれは…。
そんなことを考えていたら、いつのまにか吹雪君がこっちを見ていて、それに気付いた俺に笑顔で挨拶してくれた。
ハッ、
と我にかえる。
もしかしてこれは、
"恋"…?
なのだろうか……
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