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□踏んだり蹴ったり
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ツイてないときはとことんツイてないもんで、
踏んだり蹴ったり
最近、会ってないなぁ。
相棒の轟音を聞きながら、ふと頭に浮かんだのは半分以上口布で隠れた青い顔。
アイツ、相変わらず作戦には非協力的だし、会議にも全然来ないし、もう最後に会ったの何時だったっけなーって感じ。
今、何してんのかなぁ。
「…ゲロ?」
今まで順調に動いていた相棒からの突然のSOS。
何か、吸い込めないくらいデッカイものが吸い付いちゃったような、
「き、キィヤァァァ!!」
思わず相棒から手を放し、後退り。
まさに今、我が輩が所在を気にしていた人、ドロロ兵長が我が相棒に顔面を吸われ、声もあげることも出来ず、必死で手をばたつかせ助けを求めている。
が、暫くその異様な光景に呆然と眺めてしまい、我輩が電源をきったのはドロロがパッタリと動かなくなってからだったりする。
「お、音でわからなかった…?」
「たまには床下からもいいかなって…」
いつも天井からだと気づいてもらえなくなるし…と肩で息をしながら、切実な思いを呟くドロロ。顔こそ悲惨なことになっているものの、口布は取れるどころか一切ずれていない。
あの吸引力をもってし
てでも取れないとは…この口布、一体どういう構造になってんのよ?
「ヒドいよケロロ君…どうしてすぐに掃除機止めてくれなかったの?」
まぁそれは云われてもしょうがないでありますが…
だって、ねぇ?
他の人が吸われてるの見るの初めてだったし…我輩も、夏美殿に後頭部を吸いつけられたことならあるけど、顔面はなかったから…
「あー、にしても久しぶりだねドロロっ。また修行にでも行ってたんでありますか?」
なんて、そんなこと云ったらいつものトラウマモードに突入することは間違いないから、話を逸らしたつもり…なんだけど。
「………」
完成に、固まっちゃってる。
「こ、今度はどした?」
「昨日、二人で一緒に出かけたのに久しぶりって…」
「あ、あり?そうだったっけー…」
云われてみればそうだったかも。…あぁうん。そうだ、昨日一緒に宇宙人街に行ったんだった。
もう我輩はドロロから目を逸らすしかできなかった。
「昨日は珍しくケロロ君から誘ってくれたのにぃ…」
スルスルと床下に戻り、そのままトラウマモードスイッチオン。
床にデッカイ穴を空けたままというのは危ないと思ったけど、流石に今回は閉めるに閉められなかった。
その後、本を読みながら歩いていた冬樹殿がその穴に落ち、下にいたドロロが踏みつぶされたという話もありますが、それを詳しくお話するのは止めておくであります…
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