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□後片付け
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後片付け
くんっと腕を引かれ、振り返るとすっかり涙で顔が濡れたケロロ君がいた。
「お願い、我輩を見捨てないでっ」
新たに目から零れ落ちた涙は頬を伝い、僕の手の甲に落ちる。
涙で潤んだ大きな目、擦りすぎて赤くなった顔。
可愛い。物凄く可愛いっ。
出きることなら今すぐにでも、その震える体を力いっぱい抱きしめて、その涙を優しく拭って、君のお願いを聞いてあげたい…!
けど今回は、今回こそは負けるわけにはいかないんだ。僕がここで負けたら、ケロロ君のためにならないっ。
絶対、屈しない!
そう堅く決心したはずだったのに…
「ドロロ大好きっ!愛してる〜!!」
そんな嬉しい言葉を叫びながら、ケロロ君は僕の胸に顔をすり付ける。
結局、あの決心をしたすぐ後に僕が折れてしまい、またいつものパターンになっていく。
「それじゃ一緒に頑張ろ、ドロロっ」
そう云って、可愛らしい笑みを浮かべるケロロ君の後ろには、かつて日向家だった残骸の山。
またみんなに、飽きれられるんだろうなっと思いながら、僕は頷いた。
。