ブック2
□食べちゃいたい
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sideー斗真
「僕、ダイエットするよ」
「え…」
放課後のまったりしたお家デートの最中
新発売のチョコを見せればそんな事を口にする可愛い彼にコトっと、そのチョコの箱が地面に落ちた
「それでさ、斗真に手伝ってほしいんだ…結果がどうであれ何でも、出来る限りのお礼はするから駄目、かな…」
今まで何度か試みた事はあったが、やはり誘惑に負けてしまったのだとか
そんなひーちゃんが可愛くもあり、今回は本気だと語る目は闘志に燃えていた
別に協力することは構わな…くなくもないような、そうでないような…
「で、でも何で急に痩せたいなんか…今のままでも、今のひーちゃんが俺は好きだよ?」
「ありがとう、僕もそんな優しい斗真が好きだよ。でもやっぱりこのままじゃちょっと、ね…」
好きだと言われきゅんきゅんしながらも、何だか暗くなっていくひーちゃん
隣に寄り添い話を聞いてあげれば、どうやら学校でチビ豚だとあだ名が付き、度々からかわれていたのを大分気にしていたようだ
学校ではそんな…気にする姿なんて一度も見た事はなく、いつも穏やかに笑ながら受け流していたのに…
「それに走るの遅いし、すぐ汗かくし…体力もないからすぐバテるし」
デメリットをあげれば切りがない
そう溜め息を吐いた
俺からしたら、それはすべてメリットなのだけど… でも、こんな話をされたのは、こんな暗い顔のひーちゃんを見るのは始めてで、そんな事今は言えない
ちっちゃくて丸くてちょこちょこと動き回る、それからちょっとドジで、でもいつも笑ってるのがひーちゃん
抱き締めればその柔らかな肉感が何とも言えない安心感と祝福を与えてくれるのだ
そんなひーちゃんに俺は骨抜きになっている
でも、俺がのうのうと幸せに浸っている間、ひーちゃんはそんな苦しい思いを抱えていたなんて…あーもう、気付いてやれないなんて恋人失格だっ
そんな俺が、俺だけの幸せの為に”今のままでいて?”なんて言えない!
それに、ひーちゃんから滅多にない頼み事
多分、これを頼むのも悩んだはずだ
それだけ心の距離も側に来てくれているひーちゃんの頼み事なんだから…
「うん、分かった。じゃー今日から俺がダイエットのコーチしてあげる」
「ありがとうっ、大好きだよ斗真」
あー…抱きつかれてちょー幸せ…
むぎゅりと抱き締め返しながら、この幸せも後少しで終わりなのかと思い、今日はこの後3時間ほど抱き締めたままだった