ブック2

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休日
用事もないので朝寝坊をし、二度寝も堪能してようやくベットから起き上がった

部屋から出れば何故かタオルを手に持った姉ちゃん
寝ぼけていて、特に気にならないまま声を掛けた


「あ、姉ちゃん。今日母さん達いないし、ご飯食べに行ったり買い物行かない?」


「ごめんね、私これから勉強しに泊まりで友達の家に行くから。……どうせなら謙も勉強教えてもらいなよ?」


「そっか…分かった。ご飯適当に食べとく」


そう言えばもう直ぐ試験だとか言ってたっけ…
たまには姉ちゃんとどこかに遊びに行きたかったけど、仕方ないか
少し気分が沈んだのもあり、後半部分は小声で聞き取れなかったのだが、聞き返す事はなかった

姉ちゃんもいないって事は…今日は一人か
俺も友達の所に行くか、来てもらおっかな…

何て考えながらリビングのソファーに腰掛ける

今日明日と、両親は知り合いからチケットを貰ったとかで温泉旅行に出掛けているのだ
無意味にテレビを眺めていれば、準備を済ませた姉ちゃんが出掛けて行った

…俺も勉強しよっかな
それでも一人でするより友達とした方がはかどるかと思い、ソファーから立ち上がれば電話機に手を掛けた

その時

ピンポーンと軽快な機会音が部屋に響く
はーい、と返事をし、受話器を下ろせば玄関へと向かい扉を開いた


「せ、先生…あの、姉ちゃんなら出掛けましたけど…」


「謙に用事があったから来たんですよ?上がらせてもらいますね」


「え、は…はい」


断れないまま押し切られる形で部屋に上がってきたのは、またまた先生で…
何だか前もこんな感じだったような…と思い出すも、今更帰って下さいなんて到底言えない


「謙、朝ご飯食べてないのですか?」


台所を通りかかった辺りで先生がそう尋ねてきた
その視線の先はシンクで、きっと洗い物が何も無かったからだと思う


「さっき起きたんで…」


「ふふ、だから寝癖も付いてるんですね」


髪をとくように撫でられ、微笑まれたのもあり
そう言えば顔も洗ってなく、服だって部屋着のまま
随分気の抜けた格好で出迎えてしまった事に今気付き、恥ずかしさが込み上げてくる
その手から逃げるように俯けば乱暴に髪を手櫛でといた


「ご、ごめんなさい…っ、俺着替えもまだで…」


「押し掛けたのは僕なんで気にしないで下さい。それに…無防備で可愛らしい」


「は…ぇ、先生…んんっ」


足元に影が出来たと思えば抱きすくめられ、混乱したまま見上げればキスが落とされた


「週に1回って、足りないですよ」


「や…んっ、ふ…っ」


先生のボヤきに反応出来ないまま、口付けが段々と深くなっていき…高そうな服だとは思ったけど俺も必死で、その胸を押した
だけど離してもらえず、腰に回されてる手は強く解けないものの、それだけでは立ってられなくなり先生にしがみつく
それに気を良くしたのか、わざとか分からないけど卑猥な音を響かせながら随分と長い口付けをされた


「は…はぁ…先せ…」


「おっと、すみません…つい。朝食作って起きますので着替えてきなさい」


悪びれる様子もないまま謝られ、離された俺はずるずるとその場に座り込んだ
体が熱い…力も入らない…
ぼーっとしたままその場にいれば、目線を合わす様に先生が床に膝を付く
そして俺の顎に手を伸ばし視線を絡ませた


「…朝食より続きがいいのですか?無防備にしてるなら同意と取りますよ」


「う、あ…き、着替えてきます…っ」


訳の分からない言葉を発した後慌てて自室へ走った
ばたんと扉を閉めればさっきの様に座り込み、頭を抱える
な、何か…俺また可笑しくなってきてる…
先生に微笑まれると鼓動が早まる
それは前からだったけど…何か前とは違うような…
最初の頃より抵抗出来なくなってきてるし…体は熱いし…もうやだ、何これ…

また泣き出したい気分になるも、ぐっと堪えれば普段着へと着替える
先生を見ないように駆け足で洗面所へと走り、乱暴に顔を洗えば跳ね返った頭を櫛でといた
何だかいい匂いがする中その場で深呼吸し、無理矢理自分を落ち着かせれば洗面所を出た

すると台所に立っている先生
チキンライスらしき物が二つ皿に盛られている
その上に焼けたばかりのオムレツが
それがナイフで切られれば、とろっと美味しそうな卵がチキンライスを包んだ
思わず「わー…」と間抜けな声をあげてしまい、しかも食い入るように見ていたので笑われてしまった
その恥ずかしさを誤魔化す為に口を開く


「あの…何で料理作ってるんですか…?」


「…話し聞いてましたか?」


聞いてなかったと言うか聞く余裕が…それはそれで余計に恥ずかしさが込み上げてくる
…何だかこれ以上口を開いても間抜けな事しか言えないような気がして、口を噤んだ

テーブルの上に置かれた料理
席につくように促され、小さな声でお礼といただきますを伝えれば料理を口に運んだ
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