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side―麗希


あー僕はどうしてこんな何でもない奴を好きになってしまったんだ
顔が女らしい訳でも特別整っている訳でもない
不細工と言う訳でもないが、本当に普通
体だって女みたいに柔らかい訳でも、俺のように筋肉質って訳でもない
そこらに五万といそうな奴

しかも、お と こ


…ま、まぁでも少し言い過ぎかもしれない
確かに声は僕好みだった
声だけが好きなのかとも思った
でも、まるで蛇に食われそうな蛙とでも言おうか
あの怯える姿には愛らしさを感じた
自慰だけで、声だけ聞いて帰ろうとしたんだが…男の体にも、ましてや自身触れるなんて汚らわしくて行いたくなかったが
僕の手で乱れる奏は酷く淫らで、それでもって美しかった

我慢出来ずに最後までしてしまったが、奏も嬉しそうに泣いていたから僕の事が好きなんだと思う

男にまで好かれるなんて、やっぱり僕は罪な男だ


…でも、やはり男を好きになり、理性なく抱いてしまったなんて僕としては理解し難い
今まで生きてきた中で男なんか一度も抱こうとなんか思わなかった
女でさえ理性が切れたことはなかった

ひょんなきっかけで、いつの間にかそうなったのかとも思った
だから可愛い男に声を掛けてみたが…やはり触れられるだけで嫌悪した


…やはり僕には奏だけのようだ
奏には性別を超える何かがある
もしかすれば、彼が運命の相手なのかもしれない


そうだ、あまりにも人を魅力してしまう僕は、女が運命の相手じゃないのだ
あんなにも群がる相手から一人だけを選ぶなんて無理
そこから生まれる女の嫉妬なんて醜さしかない
そんな混乱を巻き起こさない為に、神は奏を僕の運命の相手にしたのだ
子孫を残す面での不安はあるが、これで女の醜い争いはなくなる
どれだけ外見が普通だろうが、あっちの相性はばっちりだった訳だし、他は今から好きになっていけばいい

神も中々な事をしてくれる
予想外もいいところだ
会わすのが少々遅い気がするが…あぁ、そうか
今年で18だからか、なるほど
まさしく奏は運命の相手と言うことか
そこに気付く僕は流石、賢い


そうと分かれば時間が惜しい
一分一秒でも長く奏と一緒にいるべきだ
昨日の今日だと言うのにこんなにも奏の事を考えている
きっと奏も同じに違いない
なら一緒に居てあげようじゃないか

奏は男
だから一緒に居たって周りからは友人にしか見えないだろう
気兼ねなく一緒にいられると言う訳だ


さて、そうと分かれば放課後デートにでも誘おうか


そう決めれば奏に放課後残る用にメールを送った


side―麗希end
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