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ここは生徒会室
放課後なのに何故か新以外に他の役員の人はいない
その新は俺とは違う机で生徒会の仕事に勤しんでいる


そんな中、俺はボリボリと出されたクッキーを頬張る
そのクッキーは今まで食べた事がないくらい、上品な甘さで美味しい
新が飲むからと俺の分までついでくれた紅茶
それがまた随分美味しくて、紅茶にこんなに違いがあるんだなって知った
だって俺が知ってる紅茶の味なんか、メーカーが違っても大体は同じだ
だけど匂いも違うし、ストレートでもこのクッキーに合っててとっても旨い


ここに来る事を命令されたから来てみたけど、やることはない

新に話しかけられもしないので、ただおやつを食べていた
暇だから新を見れば、気のせいかうっすら微笑んでいる
それが不思議でじっと見てしまえば、口をへの字にされ舌打ちされた
…それにびびってすぐ目を逸らしたのは内緒


「…痛むのか?」


「何が?」


「肩、さっきから擦ってるだろ」


俺そんな事してたか?
…と思った今、自分の手が肩を擦っていた
どうやら無意識だったみたいだ

確かに痛い、昨日はもう鬱血どころではなく出血するまで噛まれたからだ
何でも罰だからとかで、意味も説明されないままあちこち噛まれた

…だけど素直に「痛い」って言っていいのか?
新なら頬を上げてまた噛みそうで…怖い

だから首を横に振って返答した


おやつも食べ終えて満腹になったところ
新が立ち上がってこっちに来たので少し身構えてしまったが、俺がいる机に丸い筒上の容器を置けばまた自分の机に帰った

何だろうこれは、ハンドクリームか何かか?
ただ不思議で眺めるだけで何もしていなければ、新がぼそりと口を開いた


「…それ塗っとけ」


「……ありがとう」


多分肩に塗っとけって事だろう
…噛んだ相手に礼を言うのは複雑だったけど、有り難く使わせてもらおう

シャツのボタンを外しながらふと思う
昨日は散々罵声やら何やら浴びせてきたのに、今は主語さえない新
普段は無口な子なのだろうか

そんな事を思いながら容器の蓋を開けて半透明なジェルを指先で掬う

それを肩に塗り込めば、ぴりりとした痛みが走って顔が歪みそうになる
…これは、よく効きそう

噛まれたのは肩だけじゃない
二の腕の方まで噛まれたので、シャツを脱げばそこにも薬を塗っていく
これで早く歯形が消えてくれるといいんだけど…
…そう言えば足も噛まれたんだっけ

まだ薬が乾いてないのでシャツは羽織れない
他にする事もなかったのでベルトに手を掛けて尻を浮かせてズボンを降ろす

うわ…俺の足が悲惨な事になってる…
昨日はもう痛過ぎてどこが痛いのかわからなかったが、これだけ噛まれればそりゃ痛い訳で…
肩みたいに出血はないみたいだけど、鬱血の跡が凄い

それに早く治るように願いながら薬を塗っていく
太ももから脹ら脛へと塗り、脱ぎかけていたズボンを足首から抜いて脱ぎ捨てた
足先まで痛むので、靴下も脱げば…いったいどこまで噛めば気が済むんだよ…
足先にも歯形があって、もう呆れてしまった
そこにも薬を塗り、多分これで全部塗れたと思う

肩に塗った薬も乾いた頃だろう
シャツを羽織ろうとすれば、ガタリと机を揺らしながら乱暴に新が席を立った


「斎希…どう言うつもりだ」


どうって言われも…主語をくれよ
新の言葉が分からず、とりあえず寒いからシャツを羽織る
ボタンを締めている最中に近付いて来た新に押し倒されてしまった


「な、何?」


「斎希は俺に昨日犯されたんだろ?なのにのこのこここに来て何してんだよ」


「来なくて良かったのか…?」


その犯されたのが怖過ぎて、今こうやって約束守ってここにいるんだけど…


「そこじゃねーよ、……俺に裸を見せて、また犯されたいのかって聞いてんの」


「はぁ…?犯されたくは、ない」


何で裸を見る=犯すになるのかが分からない、…パンツは履いてるし
だけど犯されたくはないから、若干声が震えたがそうしっかり伝えた

その返答が不味かったのか、新は自分の頭を掻き「あー」とか「くそ」とか舌打ちして苛立っている……それが凄く怖いのも内緒
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