main

□君は宇宙人
1ページ/3ページ



「宮本ー」


名前を呼ばれたので席を立って教壇にいる先生の元に向かう

渡されたのは赤ペンで3個しか丸がなく、罰ばっかりの紙
それと先生の諦めたような顔
そして分厚いプリントの束


「全部いりません!」


「…1ヶ月やるからやってこい」


ついでにクラスメートからの笑い声つき

テストの返却はいつもこうなのだ


重く感じるそれを無理矢理受け取らされ、仕方なく席へと戻る
…すると何かに躓いて、転けた


「ぎゃんっ」


「ふ」


「その長い足しまっとけっていつも言ってるだろバカっ」


「点数一桁の馬鹿に馬鹿って言われたくない」


派手にすっころんだので、俺のテストは床に晒されている

このむかつく相手は帝(みかど)
何かにつけて俺に突っかかってきてはバカにして、ホントやな奴
転かされるのだってこれで何度目か分からない

顔は綺麗で運動神経も良くて頭脳明晰?って言うやつ
かく言う俺は不細工とまではいかないが顔は普通だし運動神経も人並み……そして頭は人並み以下
…何一つ帝に勝てない

テストとプリントを拾って立ち上がって、帝の机に堂々と置いてあるテストの点数を見て……引いた


「点数三桁の方がバカなんだよ、…どうやったらとれるんだよ」


…その紙をちり紙に使ってやろうか
毎回毎回学年TOPの点数とりやがって


「勉強って言葉、知ってる?」


「ふがーーっ!」


知ってるわい!バカにしやがって!
むかつき過ぎて訳の分からない奇声を上げながら威嚇したが、ふっと笑われただけで俺から顔を背けて前を向いた

べーっと舌を出して俺はさっさと席に戻った


勉強が出来ないからって何だって言うんだ
卒業してから使わないんだからな
…悔しくなんかないんだからな


毎回こんなんだから仕返ししたくてたまらない
…だけど何の勝負をしても帝には適わない


ふふふ…だけど、俺は知ったのだ
帝の苦手なものっ
ずっと彼女作らないから頭のいい奴の考える事はわかんなかったんだけど、どうやら女の子が苦手らしい
そんな噂を耳にした

これを使って僕は帝への嫌がらせを思い付いたのだ!

渡されたプリントをパラパラと捲りながら俺は帝への復讐を考え不気味な笑みを浮かべる

…その姿にクラスメートからとうとう壊れたと思われていた







ふふふ、今日からその嫌がらせを始めるのだっ
帝はいつもで放課後一人で図書室で勉強している
そこに女子の制服を着て変装した俺が傍に座って邪魔するんだっ
クラスの女の子に頼んでも良かったんだけど、恋人にでもなられていちゃつかれたら嫌がらせにならない
鬘まで被って変装した俺がすることに意味があるんだ

何で今日からかって?姉ちゃんの制服と鬘を盗み出すのに苦労したからだ
姉ちゃんはここの卒業生だからな
…決して女装を躊躇ったからではない

男子トイレで着替え、お利口に見えるように伊達眼鏡も掛けた
ふふん、誰も俺だとは分かるまい!


「あの…ここ男子トイレですけど」


「あらら間違えましたー」


ほらな、ばっちしだっ
見ていろ帝っ、勉強の邪魔して学年TOPから引きずり降ろしてやる!



早速図書室へ向かった
図書室の扉を開けばきょろきょろと帝を探す

あ、いたいた

奥の方に座っていた帝に近付けば、一つ飛ばして隣の席へ座った

帝から威圧的な視線を感じる
きっと邪魔だと思ってるんだろーな
ふふふ、作戦通りっ、そんなに見たって退いてやらないからな

まぁでも、何もしないままここにいるのも変なので、先生に渡されたプリントを鞄から取り出す
訳の分からない文字と睨めっこしていれば、いつの間にか帝の存在を忘れていた



――――数時間後

……はっ、いつの間にか眠って眠ってしまった!

外を見ればもうオレンジ色に変わっていて、隣にいたはずの帝は帰ってしまっていた

…まぁ、寝てしまったけど邪魔は出来ただろう

涎がついてしまったプリントを鞄にしまえば、また男子トイレで着替えて家へと帰った
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ